
ロシアは世界最大の国土を誇るだけあって、その行政区画の仕組みもかなり複雑でスケールが大きいんです。単純な一層構造ではなく、国の多様性を反映した「連邦制」をとっているのが特徴で、民族や地域の事情に合わせた工夫が盛り込まれています。ここではロシアの地域区分と行政システムをわかりやすく解説します。
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ロシアの最上位の地域区分は連邦構成主体(Subjects of the Federation)です。これが国を形づくる基本単位になっています。
ロシアには89の連邦構成主体があり、それぞれが憲法に位置づけられた重要な行政単位です。これは日本の都道府県に近いイメージですが、種類がいくつもあるのがポイントです。
具体的には州(Oblast)、共和国(Respublika)、地方(Krai)、連邦市(Moskva、Sankt-Peterburg、Sevastopol)、自治州(ユダヤ自治州)、自治区(Okrug)の6種類があります。それぞれの歴史的背景や民族構成によって性格が異なります。
とくに共和国は、民族的に独自色が強い地域に設けられていて、独自の憲法や公用語を持つことが認められています。「多民族国家ロシアの縮図」ともいえる仕組みなんですね。
連邦構成主体をさらにまとめる単位として連邦管区(Federal Districts)があります。これは中央政府の統制を強めるために設けられた区分です。
ロシア全体は8つの連邦管区に分けられています。たとえば極東連邦管区、シベリア連邦管区、中央連邦管区などです。
連邦管区には大統領全権代表が置かれ、各地域を監督しています。つまり「中央からの目」を行き届かせるための仕組みで、地方自治を補完しながら中央集権を維持する役割を果たしています。
この仕組みが導入されたのは2000年、プーチン政権の初期です。広大な国土を安定的に管理するために、地域を大きなブロックに分けてまとめたんですね。
一番身近なレベルでは基礎自治体(Municipalities)があり、住民生活に直結しています。
ロシアの基礎自治体は市(Gorod)、地区(Raion)、農村自治体などに分けられています。人口規模や地理条件に合わせて行政単位が設けられているんです。
自治体は教育、福祉、公共サービス、上下水道、道路維持などを担当しています。日々の暮らしを支える基盤であり、住民が直接関わる最も身近な行政です。
モスクワやサンクトペテルブルクのような連邦市は、都市そのものがひとつの連邦構成主体であり、基礎自治体の集合体としても機能しています。つまり「市=州」のような特別な立場を持っているんですね。
こうして見ると、ロシアの行政区画は「連邦構成主体」「連邦管区」「基礎自治体」という三層構造で、中央集権と地方分権を同時に成り立たせています。世界一広い国土をまとめるための工夫が随所に見える仕組みといえますね。
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