アメリカ独立戦争(1775年〜1783年)でアメリカはイギリスに勝利し、イギリスからの独立に成功しました。軍隊の兵力や装備はイギリスより劣っていたものの、なぜアメリカは勝利できたのでしょうか。今回は独立戦争でアメリカが勝った理由を2つ紹介します。
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1つ目の勝因は、アメリカ独立軍に独立を目指す強い意志があったことです。独立戦争が始まった翌年の1776年にトマス=ペインが『コモン=センス』というパンフレットを発表しました。彼はこの著書において、アメリカがイギリスから独立をすることは当然の権利であると主張し、独立軍の兵士や大陸会議の指導者など多くの人々を勇気づけたのです。
『コモン=センス』の著者トマス・ペイン
理不尽な重税を課すイギリスから独立したいという気持ちは元からありましたが、「コモン=センス」によって、その気持ちは意思としてより強固なものとなり、独立達成に大きく寄与したといえるのです。
2つ目の勝因は、ヨーロッパ諸国がアメリカ独立軍を支援したことです。アメリカ独立戦争が始まった頃から、イギリスの覇権を良く思わないヨーロッパ諸国から義勇兵や物資が送られていましたが、1778年にフランス、1779年にスペイン、さらに1780年にオランダが正式に参戦します。
また、1780年にはロシアを中心としてスウェーデン、プロイセン、ポルトガル、デンマークの間で武装中立同盟が結ばれました。当時イギリスはアメリカに物資を運ぶ中立国の船を拿捕していましたが、このイギリスの動きに対抗して、中立国の自由な航海と貿易を主張したのが武装中立同盟です。
武装中立同盟の加盟国は表向きは中立の立場であったものの、自由に物資を送ったり、イギリスの味方には付かないことでイギリスを孤立させ、間接的にアメリカ独立軍を支援したのです。
3つ目の勝因は、アメリカ側が地理的利点を活かし、ゲリラ戦術を採用したことです。アメリカの地理的広がりと不均一な地形は、イギリス軍にとって未知の戦場でした。一方、アメリカ独立軍は、この地形をよく知っており、伝統的な戦列戦闘ではなく、小規模かつ機動的なゲリラ戦術を用いてイギリス軍を翻弄しました。
4つ目の勝因は、ジョージ・ワシントン将軍の卓越したリーダーシップです。ワシントンは戦略的な洞察力と強い意志を持ち合わせており、困難な状況の中でも軍をまとめ上げ、士気を維持しました。彼のリーダーシップは、アメリカ独立軍の結束を強化し、長期にわたる戦いを支える重要な要因となりました。
最後に、イギリスの戦略的誤算と、戦争に対する国内の支持の低下が勝因の一つです。イギリスは、アメリカの独立派を初期段階で鎮圧できなかったことや、フランスなど他国の介入を防げなかったことが戦争の長期化を招きました。また、イギリス国内では戦争の継続に対する疑問が高まり、政府に対する圧力として働いたことも、アメリカの勝利に寄与しました。
アメリカ独立戦争の勝利は、多面的な要因によって成し遂げられました。独立への強い意志、ヨーロッパ諸国の支援、地理的利点とゲリラ戦術の活用、ジョージ・ワシントンのリーダーシップ、そしてイギリスの戦略的誤算と国内での支持の低下が相互に作用しました。これらの要素は、装備や人員で劣るアメリカが、世界の強国イギリスに勝利するために不可欠でした。この歴史的勝利は、不利な状況の中でも、組織的な戦略、強固な結束、そして外部からの支援がいかに重要であるかを示しています。アメリカ独立戦争は、ただの軍事的勝利を超え、国家の成立と自由への願望を実現するための闘いとして、今も世界中に影響を与え続けています。
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