ラス・カサスとは何をした人?〜インディオの保護者〜

 

ラス・カサスの基本情報

 

本名:バルトロメ・デ・ラス・カサス
異名:インディオの保護者
誕生:1484年セビーリャ
死没:1566年マドリード
実績:インディアンに対する残虐行為の告発
主著:『インディアス史』・『インディアス文明誌』・『インディアスの破壊についての簡潔な報告』

 

ラス・カサス(1484年 - 1566年)はスペイン人聖職者で、スペイン植民地におけるインディアン虐待を批判し、その自由と生存のために生涯をかけて戦った人物として有名です。
スペイン・アンダルシア地方に生まれ、伝道師として新大陸に渡ったことで、インディアンに対する残虐行為の実態を知りました。そして『インディアス史』、『インディアス文明誌』、『インディアスの破壊についての簡潔な報告』などの著書を通して、スペイン支配の不当性・非人道性を訴え、国王にも直接救済を求めるようになるのです。植民地支配が当たり前とされ、多くの人々が先住民を「野蛮な未開人」としか見ていなかった当時において、彼は激しい批判にさらされましたが、現在はインディアンの権利擁護に献身した「インディオの保護者」として讃えられています。

 

ラス・カサスと「黒い伝説」

反スペインのプロパガンダとして書かれた「インディアンの子を餌として犬に与えるスペイン人」/1598年Theodor de Bry画

 

スペイン人コンキスタドール(征服者)によるインディアン迫害を糾弾したラス・カサスの著書は、彼の死後さかんに翻訳され出版されました。それは植民地主義国の激しい対立が起こる中、スペイン批判の道具として徹底的に利用されるようになり、スペイン人の残虐性を強調する一連の批判や史料は「黒い伝説」と呼ばれるようになりました。

 

「黒い伝説」には正当な批判もあれば、事実でない捏造したもの、プロパガンダも少なくありません。そのためラス・カサスは、しばらくの間、スペイン人から「国の誇りを傷つけた祖国の裏切者」として扱われるようになったのです。