
古代ローマ時代における「民族大移動」というと、「ゲルマン民族の大移動」ばかりが有名ですが、実は他の民族の大移動も起こっていたことはご存じでしょうか。
その民族とは紀元前数千年から前1世紀まで、西ヨーロッパの広い地域を支配していたケルト人という民族(ローマ人からはガリア人と呼ばれていました)です。
大陸ヨーロッパのケルト人に関しては、前1世紀にローマに征服され、ローマ化していきましたが、ローマの支配が及ばなかったイギリスにおいてはケルト文化が引き続き栄えていました。
ゲルマン民族の大移動によりローマ帝国が社会的混乱状態にあった4世紀から5世紀にかけて、アイルランドからスコットランド西岸やウェールズ西岸への移動やブリテン島南西部からブルターニュ半島への民族移動が起こっています。
ゲルマン民族の大移動の期間、ゲルマン一派のアングロサクソン人が大陸からイギリスに大挙し、先住のケルト人に圧力をかけた影響です。
しかし民族移動でゲルマン化から逃れたケルト人が多くいたため、現在もイギリスの一部の地域で希少なケルト文化が保全されているのです。
|
|