十字軍遠征が、ヨーロッパにもたらした影響には、経済的・政治的・文化的なものがあり、これらがまた、相互に影響を与えることで、ヨーロッパ社会全体の大きな変化に繋がっています。
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十字軍遠征がきっかけで、地中海における海路が開かれ、東方貿易がさかんになりました。この東方貿易によりイタリアを中心とした地中海沿岸都市が栄え、古代ローマ帝国時代以来廃れていた「貨幣経済」が復活しています。
東方貿易による商業的繁栄と貨幣経済の浸透により、富を蓄えた有力市民(メディチ家など)および、彼らの統治する都市国家(フィレンツェなど)が台頭し、自給自足経済を基礎とした封建制は意義をなくしていきました。
さらには十字軍遠征の度重なる失敗で、没落した封建領主の代わりに王権が伸長したことで、主権国家体制という新たな国際秩序が表出しています。
東方貿易により政治的・経済的にも繁栄したイタリア諸都市は、皇帝権や教皇権から都市国家として独立。都市国家では世俗権力の影響を受けない、自由な文化が栄えるようになり、神よりも人間性(ヒューマニズム)を重視するルネサンス文化が開花しました。
十字軍遠征そのものは失敗に終わった上、略奪や虐殺など負の遺産が目立つのですが、その後の影響を考えれば、十字軍を語らずしてヨーロッパ史を語るのは不可能といっても過言ではありません。
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