北欧神話に登場する「盲目の神」とは?

ヘズにバルドルを射させるロキ

 

北欧神話に登場する「盲目の神」とは、オーディンの息子ヘズのことです。盲目である理由は語られていませんが、北欧神話において重要なエピソードに登場します。ここでは、北欧神話に登場する「盲目の神」、ヘズの来歴や逸話について解説しています。

 

 

 

『エッダ』におけるヘズ

スノッリ・ストゥルルソンが著した詩『エッダ』によると、ヘズはオーディンの息子であり、光の神バルドルとは異母兄弟となります。

 

ロキに操られバルドルを殺してしまう

ヘズとバルドルの間にもともと確執はありませんでしたが、ヘズはある日、ロキに言葉巧みに騙され、バルドルを殺してしまいます。ヘズはその後、オーディンが復讐のために生み出した弟ヴァーリによって殺されたと言われています。しかしラグナロクのあと、ヘズとバルドルは生き返り、共に新しい世界を作ったという逸話も存在します。

 

ロキがバルドルに殺意を向けたのは、バルドルが悪夢を見るようになった際、バルドルの母親である女神フリッグが、地上のあらゆるものに対して、彼を傷つけないよう誓いを立てさせたのが気に入らなかった為です。

 

『デンマーク人の事績』におけるヘズ

デンマーク人のサクソが『デンマーク人の事績』にて著したヘズは、『エッダ』とはだいぶ異なった描かれ方をしています。『デンマーク人の事績』に登場するヘズは人間であり、スウェーデンの高潔な王子とされています。

 

結末は『エッダ』と同じ

許嫁であるノルウェーの王女ナンナを巡って、好色で横暴な半神バルデルと戦うとされており、長い戦いの果てにヘズはバルドルを倒しますが、物語の結末は『エッダ』と同じで、オーディンの復讐によって、最終的にはヘズも倒れるというものになっています。