中世のヨーロッパ社会は、カトリック教会とそれを利用した封建社会制度の上に成り立っていました。そこでは個人の権利や個性の表現は二の次にされていました。しかしルネサンスとそれに続く宗教改革は、個を尊重する考え方を生み出し、近代社会の基礎である「人権」という考え方につながっています。
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例えば、ルネサンスの時代以降、自分が描いた絵や書いた楽譜、出版した本などにサインや名前を入れる習慣が生まれました。これは「著作権」の考え方の一つのきっかけになっています。
個を尊重する考え方は、何をもって「美しい」とするかの基準の変化でもあります。教会の基準を離れた、ある程度自由な創作が許された芸術家たちは、音楽や絵画や彫刻などそれぞれの分野で、自分の目から見て美しいと思うものの表現を追求することができるようになりました。
ルネサンス以後の学者たちは、それまでは「神のみぞ知る」の一言で片づけられていた様々な事象に対して、数学や科学の理論をもって挑むようになりました。
それまでのヨーロッパでは、特に数学は軽視される傾向にあり、イスラム圏に比べて発達が遅れていたのです。しかしギリシャやアラビアの数学の再発見と、商業の発展による数学の需要の高まりが相まって、ルネサンス下の数学は飛躍的に進歩しました。
ルネサンス期における、それまで3000年以上も解決されていなかった3次と4次の方程式の解法の発見とそれに伴う虚数や複素数の定義は、現代の生活を支える科学技術に不可欠なものです。
また天文学や物理学や生物学なども、数学とともに発展を遂げ、多くの科学技術の基礎ができました。
このように、ルネサンス期に起こったさまざまな変化は、近代社会の成立とその後の発展に大きく貢献するものだったのです。
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