21世紀初頭以降、ロシアの外交政策は「南下政策」に注力するようになりました。南下政策とは、ロシアが南部の地域、特に中東や中央アジアにおけるその影響力を強化しようとする政策のことを指します。その一因として、冬季でも凍結しない「不凍港」へのアクセスが挙げられます。南部地域への影響力を強化することで、ロシアは海上輸送が一年中可能な「凍結しない」港湾を利用でき、物資の輸送や軍事的な要素が改善される可能性があるのです。それも含めて、ここではロシアが南下政策にこだわる理由、目的についてまとめています。
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南下政策の一つの目的は、エネルギー資源の確保です。中東や中央アジアは石油やガスといったエネルギー資源が豊富に存在しています。これらの資源を掌握することで、ロシアは経済的な利益を確保し、さらには国際社会での交渉力を強化することが可能となります。さらに、不凍港へのアクセスにより、エネルギー資源の輸出ルートが多様化し、輸送コストが削減されるというメリットも生まれます。
南下政策は、安全保障の観点からも重要です。中央アジアは長年にわたり不安定な地域であり、その安定化に向けた努力は、ロシア自身の国内安全保障にも寄与します。さらに、中東地域に影響力を持つことで、テロリズムや過激派からの脅威を抑えることも期待されます。
南下政策により、ロシアは地政学的な影響力を拡大することも目指しています。南部地域の国々との良好な関係を維持することで、ロシアは自国の国際的な立場を強化し、さらには欧米諸国や中国などの他の大国と対等に渡り合うための戦略的な足場を築くことができます。また、不凍港を利用することにより、ロシアは自国の海上交通能力を強化し、更なる地政学的な優位性を確保することが可能になります。
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