アイスランド音楽の歴史や特徴とは?

アイスランドは、四方を海に囲まれた孤高の島国として、音楽文化も独自の進化を遂げてきました。そのため民俗音楽(フォークソング)のテーマには、船乗り、放牧など伝統的な文化に関するもの、厳しい冬・火山など特有の地理的環境に関するもの、エルフ、トロールなど北欧神話に関するものなどが目立ちます。

 

 

アイスランド発祥の楽器

アイスランドの伝統的な民族楽器としてはラングスピル(Langspil)が有名です。アイスランド原産の属打弦楽器の1種です。糸が三本張られており、膝の上に置いて指で弾く仕様です。日本の三味線に近い楽器といえます。

 


ラングスピルによる演奏の様子

 

アイスランドで音楽がさかんな理由

日本でも知られるような知名度の高いアイスランドシンガーとしては、レイキャビク出身のビョークがいます。他にもハフディス・ハルド、エミリアナ・トリーニ、シガー・ロスなどアイスランドは日本よりはるかに少ない人口であるにも関わらず、世界で活躍する音楽アーティストが目立ちます。

 

その要因としては、

 

  • 寒さで厳しい気候環境が、逆に音楽制作に集中しやすい環境を作っている。
  • 市場が狭いゆえに、世界に出て成功を収めようとする志を持つ者が多い。
  • アイスランド人の多くはが英語を話せるので、国外進出のハードルが低い
  • 音楽ホールを建設したり、音楽フェスを誘致したり、国の音楽分野への支援が手厚い

 

などなどが挙げられ、これはアイスランドだけでなく他の北欧諸国にも共通する傾向といえるでしょう。

 

 

アイスランドの独自性

アイスランドはアイスランド語を公用語と定めています。これは9世紀の建国当初から今に至るまでほとんど形を変えずに使い続けられてきた、非常に難解かつ独自の美しさをもつ言語です。アイスランド語は、彼らの文化の独自性を守るのに非常に大きな役割を果たしてきました。

 

アイスランドは9世紀にその島に移住したヴァイキングたちによって建国されましたが、近隣諸国の支配下に置かれた時期がありました。しかし、アイスランド語の難解さが他国の統一化政策を押しとどめるのに一役買い、伝統的な歌や神話を残すことができたのです。

 

伝統的な歌の中には、エルフやトロールなど神話の登場人物についてのユーモラスな物語が含まれます。またリームルと呼ばれる謡もありますが、これは楽器があまり発展しなかったアイスランドならではの声の芸術で、たいていアカペラです。

 

現代のアイスランドでは、音楽は日常生活の一部で、多くの人が趣味で作曲をしたりCDを作ったりします。プロのミュージシャンたちは、政治問題や環境問題について訴える歌を書くことも多くあります。アイスランド人にとって音楽は、彼らの生活、ことば、文化そのものなのです。

 

有名な楽曲

Sigur Ros『Hoppipolla』

シガーロスは1994年に結成されたアイスランドの国民的バンドで、アイスランド語をもとにしたホープランド語という独自の言語も編み出しながら音楽活動をしている。

 

Big Music in Small Rooms

15世紀の、アイスランド人の拉致事件について歌ったリームルで、ニューヨークタイムズに掲載された。