ローマ神話における「愛の神」とは?

フランス画家ウィリアム・アドルフ・ブグローにより描かれたクピド

 

ローマ神話における「愛の神」とは、クピドのことです。英語ではキューピッドと呼ばれ、弓矢を持った愛らしい少年の姿は日本でもよく知られています。ここでは恋心と性愛を司る神クピドの特徴や逸話についてわかりやすく解説しています。

 

このページの目次

 

 

来歴

恋心と性愛を司る神クピドは、ギリシア神話におけるエロースと同一視されています。エロースは、すべての神々の祖にあたるカオス、大地の女神ガイア、奈落の神タルタロスに続いて4番目に生まれた神であり、原初神と呼ばれる最も古い神々のうちのひとりに数えられています。そしてそのエロースと同一視されるクピドもまた、同様の来歴を持っているのです。

 

外見

古代ローマ時代から中世にかけては、翼を持った力強い男性、もしくは若々しい青年の姿をしていましたが、近世以降、少年の姿として描かれることが多くなりました。

 

象徴

クピドのもっとも有名な象徴は弓矢です。クピドの持つ黄金の矢に射られた者は激しい愛情にとりつかれ、鉛の矢に射られた者は恋を嫌悪するようになると言われています。

 

それは人間だけでなく神にも有効だったため、クピドは神々にも恐れられていました。また松明もクピドを象徴する道具のひとつで、こちらは生命を表しています。

 

他の神との関係

愛の女神ウェヌスの「子供であり忠実な従者」であり、父親は最高神ユーピテルとも、戦の神マルスとも、商人や旅人の守護神メルクリウスとも言われています。