ファシズムが芽を出したのは、世界恐慌が起きるより前、第一次世界大戦後の1919年からです。この年、ヒトラーがナチスに入党し、ムッソリーニがファシズム運動を開始し、その運動を勢いづけたのが1929年、暗黒の木曜日に始まる世界的な大不況でした。
世界恐慌が起こると、戦後しばらく続いた国際協調ムードなど吹き飛び、社会不安を利用して大衆を動員し、反対派を弾圧するファシズムが噴出したのです。唯一世界恐慌に影響を受けなかった社会主義国ソ連の勢力拡大も、それに対抗する手段としてのファシズム台頭を後押ししました。
世界恐慌が起こると、イギリスやフランスなど「持てる国」は輸出を制限する保護貿易に走り、ドイツやイタリアなど「持たざる国」は生き残りと資源獲得のために軍拡と対外侵略に走りました。
ポーランドに進軍するドイツ軍とそれを見送るヒトラー
特にドイツは20年代から復興の兆しを見せていましたが、再び不況のどん底に落とされています。だからこそ、ベルサイユ体制打破、生存権を掲げるナチスが支持を集めるようになり、1933年に政権を獲得した後は、再軍備からチェコスロバキアの併合、果てはポーランド侵攻と侵略を推し進め、1939年には第二次世界大戦の火蓋を切ることとなるのです。
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