産業革命を起こせた国とその順番

 

産業革命って、じつは世界中どこでも一斉に起こったわけじゃないんです。まず最初に火をつけたのはイギリス。そこからヨーロッパの各国、さらにはアメリカや日本にも次々と広がっていきました。でも、どの国も同じスピードで進んだわけじゃなくて、それぞれの事情や準備状況で「革命の順番」にはかなり差があったんです。今回は、産業革命を起こした国々を“おおよその順番”で追いながら、それぞれの特徴にも触れていきましょう!

 

 

最初に産業革命を起こした国々

まずは18世紀後半から19世紀前半にかけて、真っ先に産業革命をスタートさせた国たちを見ていきます。

 

イギリス

世界初の産業革命を達成したのは言わずと知れたイギリス。18世紀半ば、繊維工業を中心に機械化が進み、蒸気機関の実用化で工場生産が爆発的に発展しました。石炭・鉄・資本・労働力の条件がすべて揃っていたのが勝因です。

 

ベルギー

じつは大陸ヨーロッパで最初に産業革命を起こしたのがこのベルギー。イギリスから技術者や機械を取り入れて、19世紀前半に炭鉱・鉄鋼業が伸び、工業国として急成長しました。

 

フランス

フランスは産業革命の“出遅れ組”と言われがちですが、19世紀中ごろから本格化。政治の混乱や保守的な地主層の影響でややスローペースでしたが、鉄道建設をきっかけに進展していきます。

 

19世紀後半に革命が進んだ国々

ここでは、産業革命が“中盤以降”に起きた国々を紹介していきます。

 

ドイツ

ドイツは統一後の1871年以降、鉄鋼・化学産業で一気に伸びます。とりわけ重工業と科学技術で世界をリードするようになり、1900年代にはイギリスに次ぐ工業国に。

 

アメリカ

アメリカは19世紀前半に北部を中心に産業化が進みますが、本格的な飛躍は南北戦争後。大量生産・分業・交通インフラの整備によって、「第2の産業革命」の主役へと躍り出ます。

 

日本

日本は明治維新(1868年)以降、政府主導で産業化を進め、製糸業や造船、軍需工業を中心に発展。日清・日露戦争を経て、列強の一角に食い込むほどの工業国になりました。

 

20世紀以降に本格化した国々

産業革命の波は、20世紀に入ってからようやく届いた国々にも広がっていきます。

 

ロシア(ソ連)

ロシア帝国では19世紀末にようやく工業化が進み始めますが、本格的な工業化は社会主義体制に移行したソ連になってから。1930年代の「五カ年計画」で重工業が一気に発展します。

 

イタリア

統一国家として遅れたスタートだったイタリアでは、北部から段階的に工業化が進みました。とくに20世紀初頭、ミラノやトリノ周辺では機械・繊維産業が伸びます。

 

その他の国々

スペインやポルトガル、バルカン諸国などは産業革命への対応がやや遅れ、植民地や農業中心の経済構造が続きました。20世紀後半に入ってから、ようやく本格的な工業化が始まった国も多いです。

 

このように産業革命は一気に世界中へ広がったわけではなく、各国の経済力、政治状況、資源、地理といった条件によって“順番”がかなり違っていたんですね。つまり、時代の波にどう乗れたかで、その後の国の運命が大きく変わったというわけなんです。