2世紀以降のヨーロッパでは、ローマ帝国の版図の拡大に伴って、政府と深く癒着した教会が絶大な権力を持つようになりました。教会が利権を保つために宗教統制を利用したこともあり、個人の自由や権利や娯楽を楽しむ余地が失われ、教会を中心とした価値観が形成されてゆきました。
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しかし、11世紀に始まった十字軍遠征が失敗に終わったことにより、教会の権威は大きく低下しました。それまで教会や領主の管理下の生活しか知らなかった多くの民衆が、イスラム圏の生活と文化に触れて、教会中心の社会に疑問を抱くようになりました。
十字軍遠征をきっかけに始まった東方貿易で莫大な富を築いたイタリアの富裕層が、有望な芸術家に経済的な支援をすることができるようになりました。ただしパトロンに教皇や貴族も含まれていたため、教会や貴族制度に対する批判を表立って行うことは難しかったようです。
オスマン帝国の侵略などの戦乱の影響で、名のある学者や芸術家たちが多数イタリアに流入し、芸術や学問が振興すると共に、教会を中心とした価値観から脱却するための研究が盛んになりました。そして
教会以前の時代の美術や文学や信条に回帰し、本当の人間らしさ(ヒューマニズム)とはどういうことかについて考えようとする動き・・・いわゆるルネサンス運動が開始されたのです。
その後ヨーロッパ全土にルネサンスが広まっていくにつれ、教会そのものの見直しも始まり、宗教改革へとつながります。
このように、ルネサンスは14世紀になってとつぜん始まったものではなく、もっと早い段階から その原因となるものがいくつも積み上がって、起きたことだったのです。
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