1991年、世界の勢力図を大きく塗り替えたソ連（ソビエト連邦）の崩壊。この象徴的な事件はどのような背景から生じ、何が引き金となったのか、その理由をわかりやすく解説します。

 

 

 

経済の停滞

ソ連の経済体制は、一部を除いて国有化が進められ、五ヵ年計画に基づいて全てが管理されていました。しかし、この中央集権的な計画経済は徐々に限界を露呈し始めます。1980年代には、経済の停滞とともに物資の欠乏が深刻化しました。国民の生活は厳しさを増し、経済の効率化と生産性の向上が求められるようになりました。

 

政治の硬直化と改革の試み

長年の一党独裁体制は政治の硬直化をもたらし、民主化や自由化を求める声が高まりました。これに対応するため、1985年に就任したミハイル・ゴルバチョフ書記長は「ペレストロイカ（改革）」と「グラスノスチ（情報公開）」を進めました。しかし、これらの改革が生み出した自由化の風は、思わぬ形でソ連の結束を崩す結果となります。

 

民族問題の悪化

ソ連は多数の民族が共存する多民族国家でした。しかし、中央集権的な体制のもとでは各民族の自由や権利は制限され、独自の文化や言語を保つことも困難でした。ゴルバチョフの改革により言論の自由が認められると、これまで抑圧されてきた各民族の不満が表面化し、各地で民族間の衝突が起こりました。