北欧神話における「海の神」とは?

『古エッダ』に描かれたエーギルと妻ラーン。大鍋にビールを入れているのは「波の化身」とされる9人の娘。

 

北欧神話における「海の神」は、波しぶきのような白髪・白髭が特徴的なエーギルです。「戦で亡くなったものはオーディンの元へ運ばれるが、海で亡くなったものはエーギルの元へ運ばれる」と言われ、アース神族と対立関係にある巨人族の出身ですが、神々とは友好関係にありました。

 

 

 

エーギルの逸話

黄金の深海宮殿

エーギルは深海に豪壮な宮殿を構え暮らしていました。光が届かない深海であっても、沈没船から集めた黄金により、宮殿は常に昼のように光り輝いていたといいます。

 

宮殿でのもてなし

エーギルは宮殿に度々アースガルズの神々を招待し、盛大な宴を催しました。招待されたトールとテューレは、エーギルに十分量のビールを醸造させるために、巨人ヒュミルから奪った大釜を持ち込んでいたといいます。

 

妻と船を鎮める

エーギルの妻は海神であり女神であるラーンです。夫婦二人で度々船に?みついて沈めることがあり、波は「エーギルのあぎと(顎)」などと呼ばれることもありました。このエーギルに対抗したニョルズは、人間を守るべく、嵐が起きると海辺に向かい、高波を鎮めました。そしてエーギルに「ラーンの人捕り網を破いてしまうぞ!」と脅しかけると、エーギルは大人しく引き下がっていったそうです。

 

夫婦の間には9人の娘がいて、彼女らは波の化身と言われています。