19世紀に描かれたハデスと妻ペルセポネ、番犬ケルベロスのイラスト
ギリシア神話における冥界の神とは、クロノスとレイアの子で、ポセイドーンとゼウスの兄、ハデスのことです。「死」という古今通じて人類に忌避される事象を司っていますが、ギリシア神話でも屈指の実力の持ち主であるため、オリュンポス十二神の一角として名を連ねることもあります。
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ハデスは生まれてすぐ、「成長した子に権力を奪われる」と恐れた父、クロノスに丸飲みにされるという悲劇に合います。しかしそれを弟ゼウスに助けられ、兄弟で父クロノスを打倒。その後、ポセイドーンも含めた三兄弟とくじで世界を分け合い、冥府と地底を割り当てられた・・・という経歴を持っています。
ハデスの妻は、ゼウスの娘、ペルセポネーです。冥府で暮らすようになったペルセポネは、地上や母を恋しがり、嘆いてばかりだったと言われています。しかし一方で英雄たちが冥府に下った際には、ハデスと共に堂々と王座に構え、恐るべき「冥府の女王」として君臨していたと伝えられています。
ハデスは、冥界の主として「恐怖の象徴」とされることが多く、創作ではゼウスと対をなす悪役として描かれることも少なくありません。
しかしその一方でハデスは、「全ての者を受け入れる神」として信仰の対象であったのも事実です。神々に目を掛けられるほどの英雄は除いて、普通の人間は金持ちも貧者も関係なく、死後は冥界へと下るためです。
またペルセポネーに恋をした際は、どうして良いか分からず戸惑ったり、オルフェウスの竪琴に心を動かされ涙を流すなど、豊かな感受性の持ち主でもあったのです。
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