古代ギリシアの税制は、輸入の際にかかる関税と在留外人(メトイコイ)への人頭税が主で、市民への直接税は決して多くありませんでした。ここでは古代ギリシアで市民に課せられた直接税レイトゥルギアとエイスフォラについて紹介します。
アテナイには「レイトゥルギア」と呼ばれる公共奉仕システムがあり、富裕層が私財を支出することで維持されていました。これで回収された税金は演劇の上演や体育イベントの開催などに当てられました。国防において重要な役割を果たした三段櫂船も、このレイトゥルギアから支出され、運用コストを負担する富裕層は司令官となり、乗組員を統率していました。
古代ギリシア世界では、ポリス(都市国家)同士の戦争が日常茶飯事だったので、富裕層に資産の1パーセントを供出させる「エイスフォラ(戦時特別財産税)」という制度が設けられていました。主に国家財政が窮乏している時に、一定額以上の財産を持つ者や在留外人(メトイコイ)に戦費抽出が義務付けられ、アテナイ以外にもスパルタ、アイギナ、ミレトスなどにもみられた制度でした。
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