啓蒙主義というのは18世紀頃から勃興した、合理主義的精神にもとづき、国家や社会の変革を求める思想のことです。「民衆の蒙昧(もうまい)を理性によって啓(ひら)くことで、世の中はいい方向に向かっていく」という信念に立脚しています。
啓蒙主義はローマカトリックの圧政から人々を解放する役割を果たした他、その理念はアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも導入され、近代市民社会の形成に大きな影響を与えています。
しかし啓蒙主義は「理性を唯一絶対の手段」とする思想なので、その勢力拡大にともない、かたくるしく感情を全否定するような、かえって人間性を束縛する側面も出てくるようになります。
そこで18世紀末からは
「人間は機械じゃない、心や感情をもった生命だ!!」
と啓蒙主義に反発の声が上がるようになり、理性よりも感情を重視する「ロマン主義」という考え方が生まれたわけです。
このロマン主義のもと創造性が育ち「文学」というものが登場する他、「歴史性」や「国民性」を重視する潮流が生まれたことで、国民国家の成立に繋がったという点も重要です。
ロマン主義を代表する画家ウジェーヌ・ドラクロワによる『民衆を導く自由の女神』(1830年)
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