啓蒙主義とロマン主義の違いとは?

啓蒙主義とロマン主義の違い

啓蒙主義は18世紀に理性・科学・進歩を重視し、人間社会を合理的に改善できると信じた思想である。対してロマン主義は19世紀初頭に感情・個性・自然との調和を重んじ、理性至上主義への反動として広まった。本ページでは、このあたりの歴史的背景と後世への影響について詳しく掘り下げていく。

理性か感情か─啓蒙主義とロマン主義の違いを理解しよう

啓蒙主義とロマン主義の違いを教えてください。

啓蒙主義というのは18世紀頃から勃興した、合理主義的精神にもとづき、国家や社会の変革を求める思想のことです。「民衆の蒙昧(もうまい)を理性によって啓(ひら)くことで、世の中はいい方向に向かっていく」という信念に立脚しています。


啓蒙主義はローマカトリックの圧政から人々を解放する役割を果たした他、その理念はアメリカ独立宣言フランス人権宣言にも導入され、近代市民社会の形成に大きな影響を与えています。


啓蒙主義への反発から生まれたロマン主義

しかし啓蒙主義は「理性を唯一絶対の手段」とする思想なので、その勢力拡大にともない、かたくるしく感情を全否定するような、かえって人間性を束縛する側面も出てくるようになります。


そこで18世紀末からは


「人間は機械じゃない、心や感情をもった生命だ!!」


と啓蒙主義に反発の声が上がるようになり、理性よりも感情を重視する「ロマン主義」という考え方が生まれたわけです。


このロマン主義のもと創造性が育ち「文学」というものが登場する他、「歴史性」や「国民性」を重視する潮流が生まれたことで、国民国家の成立に繋がったという点も重要です。


ロマン主義を代表する画家ウジェーヌ・ドラクロワによる『民衆を導く自由の女神』(1830年)