フレンチにおける「ソース」の歴史

 

フレンチにおいてソースは、フォン(だし)やバターなどの油脂、酒などいろいろな材料で作られ、出来上がった料理に添えたり、材料を合わせたりして料理の味を高めるために使われます。

 

そしてフレンチでは前菜、メインディッシュからデザートにいたるまで、ほぼ全ての料理にソースが使われており、「ソースこそがフレンチ」と言われるほどに、重要度が高い存在です。

 

 

中世フランスのソース

酸味のある液体に様々なスパイスを混ぜ、小麦でとろみをつけたものや、料理の煮汁に濃度をつけ始めたのがソースの始まりです。保存技術のないこの時代は、食材の質の悪さをカバーするのが目的であった為、非常に味が濃いソースが主流でした。この時代のソースは、「添え付け」というより、「主役」といっても良い存在であったといえます。

 

近代フランスのソース

ソースがフランスにおいて確固たる地位を築いたのは19世紀後半のころです。ソースを初めて体系づけし、分類したアントナン・カレーム( 1784 - 1833)、料理人のバイブルと言える『ル・ギード・キュリネール』のなかでソースの重要性を提示した、オーギュスト・エスコフィエ( 1846 - 1935)などの功績です。

 

現代フランスのソース

20世紀後半になり、食材の流通が格段に良くなったことで、「素材を生かし、重さを排除する」風潮が主流になり、ソースはこれまでの「主役」から「素材を引き立てる」ものへと変化していきます。

 

ソースの役割の変化

料理自体も軽くて消化にいいものが求められるようになり、それにともなってソースも軽いものが重視されるように。材料の味を凝縮させたソースを少量添えるといった、料理に一体感をもたらせる役割を与えられるようになりました。

 

このいわゆる「ヌーヴェル・キュイジーヌ」(「新しい料理」の意)のはじまりによって、フレンチとソースを取り巻く状況は一変したのです。