フレンチにおける「ソース」の歴史

フレンチでは前菜、メインディッシュからデザートにいたるまで多くの料理にソースが使われています。

 

ソースこそが他の料理とフレンチを区別するもの、と言われるほどに料理の中での重要度が高いものです。

 

フォン(だし)やバターなどの油脂、酒などいろいろな材料で作られ、出来上がった料理に添えたり、材料を合わせたりして料理の味を高めるために使われます。

 

このページの内容

 

中世

ソースの発祥は中世まで遡り、酸味のある液体に様々なスパイスを混ぜて、パンでとろみをつけたものや、料理の煮汁に濃度をつけたことが始まりです。 
17世紀になるころ、これらを「ソース」と呼ぶようになりました。

 

このころフレンチは、貴族や特権階級などブルジョワの料理とされていて、宴会に明け暮れる彼らにとっての料理は贅を誇示するものでした。

 

当時のソースはかなり濃厚なものが多く、その背景には流通事情の悪い時代に、食材の質をカバーするためだったようです。

 

そのため単独でもおいしく、料理の味を覆い隠すような重くてどっしりしたソースが主流でした。

 

まさに、「フレンチの主役」としてのソースが位置づけられていました。

 

18〜19世紀

ソースがフレンチにおいて確固たる地位を築いたのは19世紀後半のころ。

 

様々に開発されたソースを初めて体系づけし、分類したカレーム氏。

 

料理人のバイブルと言える『ル・ギード・キュリネール』のなかでソースの重要性を提示した、エスコフィエ氏の功績をおいて語ることは出来ません。

 

この2人の料理人の活躍により、ソースが街のレストランまで広く浸透することになりました。

 

20世紀後半

20世紀後半の「ヌーヴェル・キュイジーヌ」のはじまりによってフレンチとソースを取り巻く状況は一変しました。

 

食材の流通が格段に良くなったことで、素材を生かし重さを排除する風潮が主流になり、ソースはこれまでの「主役」から「素材を引き立てる」ものへと変化していったのです。

 

料理自体も軽くて消化にいいものが求められるようになり、それにともなってソースも軽いものが重視されるようになりました。

 

そして現代のフレンチでは、材料の味を凝縮させたソースを少量添えるといった、料理に一体感をもたらせる役割をソースは担っています。

 

ソースづくりにおいても、フォンの使い方、ソースにする材料、そして手法も多様化しているのです。