チェコに暮らす動物たち

中央ヨーロッパのど真ん中に位置するチェコ共和国。古城やビールのイメージが強い国ですが、じつは森林と川に恵まれた自然大国でもあるんです。そんなチェコには、古くからこの地に棲みついてきた哺乳類や鳥類がたくさんいますし、人々の生活や文化の中にも動物たちがしっかりと根づいています。今回は、そんなチェコの自然と動物たちの世界をじっくりと見ていきましょう。

 

 

チェコの自然と生態系

温帯に位置するチェコでは、四季がはっきりしていて、動物たちもその変化の中で暮らしています。

 

ボヘミアとモラヴィアの森

国土の約3分の1が森林に覆われているチェコでは、ブナやトウヒなどの広葉樹・針葉樹が混ざった森があちこちに広がっています。とくにシュマヴァ国立公園やクルコノシェ山地では、シカやキツネフクロウなどが自然のリズムの中で生きているんです。

 

水辺に息づく生きもの

エルベ川やモラヴァ川といった大きな河川だけでなく、小さな湖沼や湿地も点在するチェコでは、ビーバーやカワウソといった水辺の動物たちの姿も見られます。とりわけ再導入されたヨーロッパビーバーは、生態系のバランスを保つ“エンジニア”的存在なんですよ。

 

高地と低地の生態の差

チェコには標高1000メートル級の山地から、低地の農村まで、いろんな環境があるため、それぞれに適応した動物たちが暮らしています。たとえば高地ではヤマネコ、低地では野ウサギやモグラなどが見られ、生態系の多様性が保たれているんです。

 

チェコにおける動物文化

チェコ人の暮らしや信仰の中には、昔から動物が自然に存在してきました。

 

童話と動物のつながり

チェコでは動物が主役の民話やアニメがとても人気。たとえば『もぐらのクルテク(Krtek)』は世界中で知られる人気キャラで、森に住む動物たちとのやり取りが描かれています。これはまさにチェコ人の動物への愛情がにじみ出た作品なんですよね。

 

動物保護への関心の高さ

チェコでは動物保護が社会的に重視されており、絶滅危惧種の再導入や、動物福祉法の整備も進んでいます。オオカミやヤマネコの保護区も整備されていて、人と野生動物との共存を目指した取り組みが広がっているんです。

 

ビールと馬車と農村の動物

昔ながらの農村では、牛や馬、ヤギなどの家畜も大切な存在。ビール祭りなどのイベントでも、馬車や動物のパレードが登場することがあり、都市と農村の文化が動物を介してつながっているのが印象的なんですよ。

 

チェコに暮らす有名な動物

それでは、チェコの自然を代表するような動物たちを紹介していきます。

 

ビーバー

ビーバー

 

かつて絶滅寸前まで追い詰められたヨーロッパビーバーですが、チェコでは保護政策によって再び姿を見せるようになりました。ダムを作る習性で知られ、水辺の環境をガラリと変えてしまうその影響力は、まさに“自然界の建築士”。環境保全の象徴的存在とも言えるんです。

 

ヨーロッパアナグマ

ヨーロッパアナグマ

 

チェコの森や草原にひっそりと暮らすヨーロッパアナグマは、夜行性の掘削名人。地面の下に複雑なトンネルを作って生活しているんです。のんびり屋の性格で、夜な夜なエサ探しに出かける様子はちょっと愛嬌もあって、チェコでは昔話や伝承にも登場する人気者です。

 

ヨーロッパオオヤマネコ

ヨーロッパオオヤマネコ

 

チェコのシュマヴァ国立公園などの深い森には、幻のように姿を見せるヨーロッパオオヤマネコが生息しています。鋭い目つきとピンと立った耳が特徴で、見ることができたら本当にラッキー。生態はまだまだ謎が多く、絶滅を防ぐための調査や保護が続けられている、まさに「森の精霊」のような存在です。

 

こうして見てみると、チェコという国は自然と動物が見事に調和している場所なんですね。森と川に囲まれたこの国では、動物たちも文化の一部として大切にされてきたわけです。