
ハンガリーは国土こそ日本の北海道くらいの大きさですが、行政区画の仕組みはしっかりとした多層構造を持っています。中央集権国家でありながらも、地方ごとの歴史や文化を尊重する工夫が見えるのが特徴です。ここでは、ハンガリーの地域区分と行政の仕組みをわかりやすく解説します。
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ハンガリーの地方行政の基本単位は県(megye)です。これは日本の「県」と似た役割を果たしていて、全国に複数置かれています。
ハンガリーには19の県があり、さらに首都ブダペストが独立した行政単位として位置づけられています。ブダペストは特別市のような存在で、政治・経済の中心を担っています。
県は教育、保健、地域開発といった広域的な行政を担当しています。小さな自治体では担いきれない仕事をカバーするのが県の大きな役割なんです。
EU加盟国としてのハンガリーは、統計や開発政策のために7つの地域圏(NUTS-2レベル)にも分けられています。これは県をまとめた単位で、主に経済発展やEU資金の分配に関わっています。
県の下には基礎自治体(település)があり、これが住民にとって最も身近な行政単位です。
基礎自治体には市(város)と村(község)があり、規模によって区別されています。特に大きな都市は都市県(megyei jogú város)として、県と同等の権限を持つ場合もあります。
自治体はごみ収集、初等教育、上下水道、地域交通など、日常生活に直結するサービスを担当しています。住民が一番実感する行政サービスがここに集まっているんですね。
ブダペストは23の区に分かれており、それぞれに区長と議会があります。つまり首都自体が「小さな自治体の集合体」として機能しているんです。
ハンガリーは単一国家であり、最終的な権限は中央政府に集中しています。ただし地方自治体にも一定の権限が与えられていて、中央と地方のバランスをとる仕組みが整えられています。
地方行政は国からの補助金やEUの地域開発基金に大きく依存しています。自前の税収だけでは限界があるため、国家レベルでの支援が欠かせません。
教育制度や司法などの分野は強く中央政府に握られていて、地方の自由度は限定的です。「地方に任せる部分と、国が統一して管理する部分の線引きがはっきりしている」のがハンガリーの特徴です。
行政区画はEUの地域政策とも密接に結びついています。開発計画やインフラ整備は、地域圏を単位に進められることが多く、ハンガリーはヨーロッパの仕組みの中で地方行政を強化しているんです。
こうして見ると、ハンガリーの行政区画は「県」「基礎自治体」「地域圏」という三層で成り立っていて、中央政府の強い統制のもとに運営されています。小さな国ながらもEUと連携しつつ効率的な仕組みを築いているのが特徴なんですね。
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