トルコ音楽の特徴と歴史

トルコの音楽」と聞いて、多くの人が最初に連想するのは、「トルコ行進曲」の愛称で知られるモーツァルトのピアノソナタではないでしょうか。この曲は、オスマン帝国の台頭によってヨーロッパに「トルコ風」のものが大流行した中でつくられた曲です。モーツァルトも感化を受けた、トルコ人の音楽とはどんなものだったのでしょうか。ここでは、トルコ人の音楽の歴史とその特徴を簡単に紹介します。

 

 

民謡や民俗音楽

トルコ人は、中央アジアの遊牧民が徐々に西方に進出する中で形成された民族です。日本や韓国やモンゴルの民族とルーツが近く、古い民謡の中にもよく似た部分があります。遊牧生活の中で使われていた掛け声や、祭りの際の舞踊の謡などが民謡のベースになっているものもあります。一般的な西洋音楽の音階よりもさらに細かく音が分かれていて、5拍子や9拍子など変わったリズムのものも多いため、初めて聞くと驚くかもしれません。

 

トルコ人の音楽は、オスマン帝国が版図を拡大するにつれて様々な民族の伝統音楽と混ざり合い、発展していきました。

 

軍楽

11世紀の初頭に成立した「メヘテル」と呼ばれる軍楽隊は、オスマン帝国の軍隊を鼓舞し、敵を威嚇するための行進曲を演奏するマーチングバンドでした。これが、有名な「トルコ行進曲」にも影響を与え、また現代のブラスバンドの原型になったものです。

 

トルコの楽器

代表的なものの一つは「サズ」と呼ばれる、日本でいう琵琶のような楽器です。民謡や伝統舞踊の伴奏に用いられます。また、トルコは「ジル」つまりシンバルの生産でも有名です。単純な楽器に見えますが、よく鳴るシンバルを作るのはとても難しいのです。メヘテルが奏でる曲の独特の迫力は、優れた金属加工技術によって作り出されたジルによって支えられていました。

 

現代では、世界中のあらゆるジャンルの音楽の中で、トルコ製シンバルが大活躍しています。