エウリピデスとは何をした人?〜舞台の哲人〜


エウリピデスの基本情報

 

生年:前480年頃
没年:前406年頃
出身:アッティカ
死没地:マケドニア
別名:「舞台の哲人」
称号:三大悲劇詩人
代表作:『メディア』『トロヤの女』『バッコスの信女たち』

 

エウリピデス(前480年頃 - 前406年頃)は古代ギリシアの劇作家であり、アイスキュロス、ソフォクレスに並ぶ古代ギリシア三大悲劇詩人の一人と目される人物です。代表作は『メディア』『トロヤの女』『バッコスの信女たち』など。ソフィストと自然哲学の影響で、古来よりの伝統や神々の権威を否定するような進歩的な作風なため、生前は保守的な人々から酷評された作家でもありました。しかし実力は確かで、競演では前441年以来5回優勝。合理主義のもと現実の人間を描くことにこだわり、細かな心理描写、甘く情熱的な台詞がエウリピデス作品の魅力でした。

 

 

エウリピデスの作風

合理主義的・革新的

エウリピデスの作品は、古い伝統に抗うような、現実に切り込む革新的な作風が特徴です。神々に対して常に批判的立場を貫くなど、合理主義的精神を反映した作品の数々は、後世に絶大な影響を与えました。彼が生前、大衆から不評だったのは、当時にしてはあまりに挑戦的な作風に起因しているのです。

 

「機械仕掛けの神」の多用

エウリピデスは「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)」と呼ばれる演出技法を多用しました。これは神に扮した俳優をクレーンにより屋根の上に出現させ、物語を一気に畳みこむ(いわゆるどんでん返しを行う)という手法であり、しばしばその強引な幕引きが批判の対象になりました。

 

エウリピデスの代表作

『メデイア』

紀元前431年、アテナイのディオニューシア祭で初演されたギリシア悲劇です。コリントスを舞台にした逸話で、王女メディアによる、不貞をおこした夫イアソンに対する復讐劇となっています。激しい怒りに突き動かされる女性の感情を丁寧に描いています。

 

『アンドロマケ』

紀元前425年頃に書かれたギリシア悲劇で、トロイア戦争終結後の王族による愛憎物語を主題にしています。エウリピデスの代表作の1つですが、上演年はわかっていません。

 

『ヘラクレス』

前416年頃に書かれたギリシア悲劇で、ギリシア神話でも最上級の存在ヘラクレスの館を舞台にした物語です。テーバイに命を狙われる家族を救おうとするも、狂気の女神リュッケに憑りつかれて、ヘラクレス自身で家族を手にかけてしまうという悲劇の物語になっています。