ヨセフスとは何をした人?〜『ユダヤ戦記』の著者〜


ヨセフスの基本情報

 

生誕:37年エルサレム
死没:100年頃ローマ
異名:「フラウィウス」
民族:ユダヤ人
主著:『ユダヤ戦記』『ユダヤ古代誌』『アピオン反論』

 

ヨセフス(37年 - 100年頃)は古代ローマ共和政末期のユダヤ系歴史家で、『ユダヤ戦記』『ユダヤ古代誌』『アピオン反論』などの著者として知られています。エルサレムの祭司の家に生まれ、ユダヤ戦争ではガリラヤ長官としてローマと戦うも敗れて投降。以来寝返ってローマに協力するようになりました。やがてローマに移り住み、「フラウィウス」という皇帝の氏族名、ローマ市民権・土地を与えたられた上で、ウェスパシアヌス皇帝の援助のもと執筆活動に専念するようになるのです。彼の著作は、ユダヤ史、ローマ史、原始キリスト教史を知る上で貴重な史料であり、とりわけ自らも身を投じたユダヤ戦争における、エルサレム陥落までの顛末を著した『ユダヤ戦記』は最も有名です。

 

ヨセフスの『ユダヤ戦記』の内容

ユダヤ戦記』はヨセフスが、ユダヤ戦争においてユダヤ人の指揮官として戦い、ローマ軍に投降後、ティトゥスの臣下としてエルサレム投降までの一部始終を目撃した経験と、その他様々な史料をもとに書いた歴史書です。全7巻で、80年頃完成したとみられています。

 

評価

もともとはアラム語で書かれていたものの、その後ギリシャ語、ラテン語に翻訳され、ヨーロッパ世界で広く読まれるようになりました。そしてその内容に関しては、「歴史を私情で捻じ曲げている」という類の批判はあるものの、ユダヤ戦争の目撃者による貴重な証言には変わりないため、古代史研究の貴重な史料とみなされているのです。