なぜナチスはソ連を敵に回したのか

独ソ戦・モスクワの戦いにおいて、歩兵をサポートするソ連機関銃士

 

なぜナチスドイツは、イギリスフランスの相手だけでも大変なのに、わざわざ同盟を組んでいたソ連を敵に回すようなことをしたのでしょうか?誰もが思う疑問だと思います。しかし、これには一応ナチスなりに、理屈の通った理由がありました。ナチスが独ソ戦を始めた理由としては、主に以下の3つが挙げられます。

 

 

 

二正面作戦を恐れていた

まずドイツはソ連と独ソ不可侵条約結んだといっても、ナチスは徹底した反共主義でもあったので、ソ連のことを欠片も信用していませんでした。むしろ裏切られて、英仏とソ連による二正面作戦が行われることを恐れ、出来るだけ早くソ連の脅威を排除したがっていました。これが第一の理由になります。

 

イギリスの戦意をくじきたかった

二正面作戦を恐れていたと同時に、英仏を甘くみていたというのもあります。独ソ戦が始まる前、イギリスは専守防衛に徹し、ドイツに攻め込んでいたわけではありませんでしたし、フランスは早々に降服し、ナチスの手に落ちていました。ソ連さえ参戦してこなければ、実際英仏はドイツにとって大した脅威ではなかったのです。

 

ソ連が落ちれば、残るイギリスも…と踏んでいた

そしてドイツ・ソ連がポーランドに侵攻した際、英仏がソ連には宣戦布告しなかったのは、ソ連が後々連合国に加わってくれることを期待してのもので、ドイツはそうなる前にソ連を叩き、残るイギリスの戦意を喪失させてしまおうと考えたのです。

 

ソ連を過小評価していた

ソ連が冬戦争(1939〜40年)で「弱小国」フィンランド相手に大苦戦していたのをみて、「ソ連軍などドイツの敵ではない」と過小評価していたこともあります。

 

冬戦争は確かにソ連の脆弱性が露呈した戦争ではありましたが、ソ連も失敗から何も学ばないほど愚かではなく、冬戦争での教訓を活かすことで、ドイツのモスクワ進撃を食い止めることに成功しています。そしてドイツはこの失敗をきっかけに崩壊への道を歩んでいくこととなるのです。