西岸海洋性気候の魅力|メリット・デメリットを知っておこう

西岸海洋性気候の魅力

ヨーロッパの西岸海洋性気候は温暖で湿潤な気候が生活の快適さを支え、自然や農業の豊かさを育んでいる点が魅力である。本ページでは、このような地理的要因やその影響についてさらに詳しく掘り下げていく。

西岸海洋性気候の魅力|メリット・デメリットを知っておこう

Biarritz グランドプラージュと灯台

フランス南西部ビアリッツにあるビーチ
西岸海洋性気候ならではの穏やかな海風と湿った気候が反映された海岸風景。

出典:Photo By Pinpin /Wikipedia commons CC BY-SA 3.0より


ヨーロッパ西部を中心に広がる西岸海洋性気候は、温暖で湿潤な気候が特徴。日本とはまた違った「穏やかな四季」を持ち、暮らしやすさの面でも注目される気候です。でも、実は“いいことづくし”というわけではありません。今回はこの気候が持つメリットとデメリットを、それぞれわかりやすく整理してみました。「西岸海洋性ってどんな暮らしになるの?」と気になる方、必見です。



西岸海洋性気候のメリット

まずは「この気候でよかった!」と感じるポイントを紹介していきます。


気温の変化がゆるやか

夏は涼しく冬は温暖。このバランスの良さが西岸海洋性気候の最大の魅力です。猛暑に悩まされることもなければ、凍てつくような寒波も少ない。衣替えもそこまで大がかりにしなくて済むし、体への負担もやわらぎます。


農業や畜産に適している

雨が年中まんべんなく降るため、作物の育成や牧草の生育にぴったり。イギリスやオランダが酪農大国なのもこの気候が支えているからなんです。とくに小麦、じゃがいも、ブドウなどはこの地域の代表作物。


西岸海洋性気候のデメリット

では一方で、この気候に特有の「困りごと」にはどんなものがあるのでしょうか?


雨が多くて晴れ間が少ない

1年を通して天気がどんよりしがちというのがよくある声。曇りや小雨の日が続くと気分が沈みやすく、気象性うつ(冬季うつ)になりやすいとも言われています。洗濯物も乾きにくく、日光浴が恋しくなる季節も。


湿気が原因のカビ・建物劣化

湿気が多いことは植物には良くても、人間の生活にとっては悩みのタネにも。カビの発生建物の老朽化を引き起こしやすく、特に古い石造りの建物ではメンテナンスが大変。除湿対策が欠かせません。


気候が育んだ魅力的な文化

この気候が、人々の暮らしや文化にどんな形で根づいてきたかも見てみましょう。


レインウェア文化の発達

イギリスのトレンチコート、オランダのレインジャケット──どちらも雨の多さに対応したファッションから生まれたもの。傘はあまり使わず、着る雨具で対応するのがスタイルなんですね。


ガーデニングや芝生の文化

湿潤で温暖な気候のおかげで、緑が育ちやすいのも特徴。イギリスのガーデン文化やフランスの芝生庭園など、自然と調和した美しい暮らしが発達しました。まさに「雨を味方にした文化」と言えます。


西岸海洋性気候は、過ごしやすさという意味ではかなりの優等生。ただし、湿気や曇り空とどう付き合うかがカギになります。メリットとデメリットをきちんと理解すれば、この気候の魅力をもっと活かせるようになるはずです。