古代ローマトイレ事情

 

古代ローマ時代には個人宅にトイレなどはなく、大多数の市民は市内に設置された公衆トイレを利用していました。公衆トイレの設置は紀元前2世紀から始まり、その形態は長椅子に鍵穴型の穴が空けられた簡素なものでしたが、直下には汚物を排水する下水道が通るなど、現代の公衆トイレに限りなく近い機能性を備えていました。

 

公衆トイレは感染症の温床

古代ローマの公衆トイレに仕切りなどはなく、皆丸見えの状態で用を足すことになりますが、特に気にせず、むしろ集まった人々で会話を楽しむなど社交の場になっていました。しかしこれはトイレからの伝染病の蔓延を引き起こし、便をふき取るスティック型の海綿を、人々で共有していたことも、伝染に拍車をかけました。

 

尿が再利用されていた

尿には油脂を分解するアンモニアが含まれるため、古代ローマでは尿を発酵させたものが洗剤として再利用されていました。尿に価値があるとわかると、公衆トイレにたまった尿は商品化され、尿回収業者に課税まで行われるようになりました。