ロマン主義という芸術運動は、人間の情感や自然、そして個々の創造性を重視し、18世紀から19世紀にかけてヨーロッパを中心に広まりました。しかし、どのような芸術運動でも、それが生まれ出た社会的背景やそれ自体の特性からくる問題点や課題も存在します。

 

 

 

 

主観性と非現実性

ロマン主義は、個々の芸術家の感情や想像力を重視し、それを表現することを特徴としています。これは一方で、「作品が主観的なものになりがち」であるという問題を生み出しました。また、過去や自然へのロマンティックな憧れが、「現実からの逃避」と解釈されることもありました。

 

社会的な制約の問題

ロマン主義は、個々の芸術家の自由な表現を重視する一方で、その自由な創造性は社会的な制約によってしばしば制限されることがありました。たとえば、19世紀のヨーロッパではまだ、女性の芸術家が自身の作品を大々的に発表するのは困難であり、自由を求めるロマン主義をもってしても、社会が女性の芸術活動を制約する風潮を打破することはできなかったのです。