古代ローマ人の服装ってどんなだったの?

 

ローマの服で最も有名なのが、一枚布を身体に巻きつけるシンプルな「トガ」ですが、このトガは時代が下るにつれて大きくなっていきました。また最初は男女差はありませんでしたが、時代が下ると女性はギリシア風のトガを着るようになりました。

 

 

公職者の服装

トガはやがて公服として着られるようになりました。このことでトガの着付け方や色を厳しく規定されるようになったため、もともと部屋着であったトゥニカが日常服として着られるようになりました。また4世紀にキリスト教が国教化すると、ダルマチア地方(現クロアチアのアドリア海沿岸地域)の民族服が公服として着られるようになりました。

 

公服としてのトガ

公職者が着用するトガには、色や装飾に厳格な規定がありました。例えば、元老院議員は白いトガに紫の縁取りが施された「トガ・プラエテクスタ」を着用し、これが彼らの地位を示しました。また、トライアンフ(勝利の凱旋式)を行う将軍は、全身を金糸で装飾された「トガ・ピクタ」を着用しました。

 

男性ローマ人の服装

庶民の男性は、トゥニカの上にベージュ色のトガを着るスタイルが一般的でした。ただしトガは着付けが面倒なので、前1世紀頃からはより実用的で快適なトゥニカを重ね着したり、ギリシア風の外套を着るのが一般的になっています。

 

トゥニカ

トゥニカは、ローマ人の日常服として広く普及していました。綿や羊毛で作られ、膝丈またはそれより少し長い丈で着られていました。階級や職業によってトゥニカの色や装飾が異なり、例えば軍人は赤や青のトゥニカを着用することが多かったです。

 

女性ローマ人の服装

身分に関わらず、女性は「ストラ」と呼ばれるチュニック型衣装を着ていましたが、既婚女性は踵丈のチュニック、未婚女性はもう少し短い丈のものを着るなど、既婚未婚で差異はありました。また上流階級の女性は同じストラでも、絹や綿を用いた、美しい刺繍が入った高級品を身に着けていました。

 

上着と下着

女性は上着として「パルラ」と呼ばれる一枚布を、下着として「ストロピウム」と呼ばれる胸を寄せてあげるための衣服を身に着けていました。パルラは、肩にかけて身体に巻きつける形式のもので、外出時の防寒や装飾の役割を果たしました。

 

アクセサリーと化粧

ローマの女性は、ジュエリーや化粧にも気を使いました。金や銀、宝石を使ったネックレスやブレスレット、イヤリングが一般的で、特に上流階級の女性は豪華なジュエリーを身に着けました。また、鉛白を使ったフェイスパウダーや赤土を使ったリップカラーなど、さまざまな化粧品が使われていました。

 

特殊な服装

結婚式や儀式の服装

結婚式や宗教儀式では、特別な服装が求められました。花嫁は「フラメウム」と呼ばれる鮮やかな赤いヴェールをかぶり、祝祭の意味を込めた豪華な衣装をまといました。また、宗教儀式に参加する際には、神聖な白いローブや特定のシンボルを身に着けることがありました。

 

軍人の服装

ローマ軍の兵士は、通常のトゥニカの上に「ロリカ・セグメンタタ」と呼ばれる金属製の鎧を着用しました。これは動きやすさと防御力を兼ね備えており、さらに「カリガエ」と呼ばれるサンダルを履いていました。将軍や高位の軍人は、より豪華で装飾的な鎧やマントを身に着けました。

 

古代ローマ人の服装は、社会階級や職業、性別、さらには特定の儀式や行事によって多様性に富んでいました。トガやトゥニカ、ストラ、パルラなど、さまざまな衣服が使用され、ローマ人の生活様式や文化を反映しています。これらの服装は、単なる衣類としての役割を超えて、ローマ社会の構造や価値観を象徴するものでした。