古代ギリシアの農業事情とは?

古代ギリシアの農業

古代ギリシアの農業はオリーブやぶどう、麦を中心に行われ、小規模な農地で家族単位の経営が基本だった。地形や気候の影響で効率的な農法が発展し、農産物は食糧だけでなく交易品としても重要だった。本ページでは、このあたりの歴史的背景とヨーロッパ文化との関連について詳しく掘り下げていく。

古代ギリシアの農業事情とは?


ギリシャは地中海性気候(夏は乾燥・高温、冬は温暖湿潤)が支配的な地域なので、古今通じて、夏は乾燥に強いオリーブ・ブドウ・柑橘類といった果樹栽培を、冬は冬雨を利用した小麦栽培やヒツジやヤギなどの家畜飼育を行う地中海式農業がさかんに行われています。


古代ギリシアで栽培されていた作物


オリーブ

オリーブはギリシャで最も栽培がさかんな作物で、2019年現在世界第三位という生産量を誇っています。この国のオリーブ栽培の歴史は非常に長く、クレタ島からはおよそ3500年前のオリーブ壺(アンフォラ)が出土しています。


歴史が長いだけにギリシャのオリーブオイルは上質なことで知られ、ギリシャ全体のオリーブオイル生産量のうち8割は最高級品のエクストラバージンオリーブオイルになっているのです。


ブドウ

ブドウの栽培は、ギリシャの中では比較的冷涼で湿気もあり、風が穏やかな高原や北部の斜面を利用して行なわれています。栽培されるブドウは食用にもされますが、ほとんどはワイン用に還元されます。


ギリシャで生産されるワインは「ギリシャワイン」と呼ばれ、古い歴史を持つブランドものとして知られます。


ギリシャの国土は山がちで、人類の重要な食糧資源である「穀物(小麦やトウモロコシ)」の栽培には適ざず、昔から穀物の供給はほぼ輸入に頼らざるえませんでした。それだけにオリーブやブドウといった地域特産品は、ギリシャの海上貿易の軸となり、文明の発展に欠かせないものになったのでした。


古代ギリシアの歴史初期において、ギリシャの農業と食事はもっぱら穀物でした。そのうちほとんどが生産性がいい大麦