ニーチェとは何をした人?〜「ニヒリズム」の提唱〜

 

ニーチェの基本情報

 

本名:フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ
誕生:1844年プロイセン、レッツェン・バイ・リュッケン
死没:1900年ドイツ、ヴァイマル
思想:「神は死んだ」「ニヒリズム」

 

ニーチェ(1844年 - 1900年)はドイツの詩人および哲学者で、『ツァラトゥストラはかく語りき』の著者として知られる人物です。ザクセンの牧師の息子として生まれ、ワーグナーとショーペンハウアーの影響のもと、独自の思想体系を確立していくようになります。そして1870年普仏戦争に従軍した後、1872年に処女作『悲劇の誕生』を書き上げ、80年代にかけて数々の著作を完成させました。彼が著作で説く「神の死」「ニヒリズム(=絶対的価値を否定したり国家や権威への従属を拒否)」などの考えは、現代思想に大きな影響を与えています。晩年精神に異常をきたし、ワイマールにて死去。

 

 

ニーチェの思想

「生の哲学」と「実存哲学」の先駆者であるニーチェの思想は、ワーグナーとショーペンハウアーの影響を強く受けています。機械時代に異を唱える文明批判を展開し、ニヒリズムを摘発。さらに超越的な存在など存在せず、信仰は人を堕落させるとする「神の死」を宣言するなど、挑戦的な彼の思想は現代思想に大きな影響をもたらしました。

 

ニーチェはなぜ「神は死んだ」としたのか

ニーチェ以前のヨーロッパでは物事の善悪は神という超越した存在により規定されていました。人々が善行を行うのは天国に行くためだったのです。しかし近代化が進み、既存の道徳観に対する批判が大きくなる中、ニーチェは「キリスト教の信仰は信ずるに値しない」と断じます。そして物事の善悪は現実世界の立場で規定される、つまり絶対的な視点は存在しないという意味で「神は死んだ」と言ったのです。

 

またニーチェはルサンチマン(妬み)を悪しきものとした上で、ルサンチマンの形成にはキリスト教の神の存在に責任があるとし、神の死を告げることで、ルサンチマンの根幹を揺るがそうとした、ということも知っておきましょう。