オーディンの息子ヘルモーズを迎える冥府の女王ヘル(John Charles Dollman作)
北欧神話における「冥界の神」とは、ヘルのことです。ヘルは氷の国二ヴルヘイムに位置するヘルヘイムで、老衰や疾病など不名誉な死を遂げた死者を支配しています。
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ヘルはロキの娘であり、ラグナロクでオーディンを飲み込んだ怪物フェンリルや、毒蛇の怪物ヨルムンガンドとは兄弟でもあります。オーディンによって冥界、二ヴルヘイムへ送られましたが、その理由としては
などと言われています。オーディンはその後、疾病や老衰で死んだ者達や悪人の魂を二ヴルヘイムへ送り込み、ヘルに支配させたのです。
冥府の支配者となってからのヘルには、本人が主役となるような神話はほとんどありません。二ヴルヘイムの一部に自らの名を冠しヘルヘイムと名付け、エーリューズニルという館に住み、淡々と死者たちを治めていたようです。
ただし、自分を暗く寒い奥地へ追いやった神々に復讐する機会はうかがっており、地上へ上がるための船ナグルファルを造るため、死人の爪を集めるように使者に命じていました。しかしラグナロクに関する伝承にヘルの名前は登場せず、この船に乗っていたのかどうかも不明なままとなっています。
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