18世紀の噴火で、アイスランドに甚大な被害をもたらしたラキ火山
アイスランドはその名の通り、氷河が多い国ですが、対のような存在といえる火山が多い国でもあります。そして火山活動を背景とした温泉や、それを利用した地熱発電など、火山による恵みはこの国の発展に大きく寄与してきたのです。
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火山とは簡単にいえば、地球内部のマグマ(溶岩)が、ホットスポット(地球深部のマグマが湧き出る地点)から地表(もしくは水中)に噴出することでできる「地形」のこと(「地形」は山になるとは限らず、「カルデラ」と呼ばれる凹地になることも)です。
そして地球は何枚もの厚い岩=プレートに覆われており、プレートの境界には大量のホットスポット存在します。
つまりアイスランドに火山が多いのは、国土そのものが、大陸プレートの境界(大西洋中央海嶺)が、海面上に表出した部分になっているためです。大西洋中央海嶺のほとんどは海底に存在するので、アイスランドは世界で唯一、その露出部が国土となっている非常に珍しい国なのです。
1600万年前、火山活動によりアイスランド島が形成され、以来この島では火山活動がさかんに繰り返されてきました。さらにアイスランドへ入植が始まった9世紀から現在まで、記録に残ってるだけで13回の噴火が確認されています。以下はその中でも特に有名なものです。
1783年、ヴァトナヨークトル氷河の南に位置するラキ火山が噴火。火山灰による気候変動や、火山性の有毒ガスが原因となりアイスランドの人口の約4分の1が死亡する甚大な被害が発生しました。
1963年、アイスランド南西海域の海底火山が噴火したことによりスルツェイ島が形成。荒地からどう動植物が定着していくかを調べる重要な研究拠点となり、2008年にはアイスランド初の自然遺産として登録されています。
1973年ヘイマエイ島で噴火が起き、大量に流れ出た溶岩と、山のように降り注いだ火山灰により400軒近くの建物が破壊され、麓に住む人々は何ヶ月もの避難生活を余儀なくされました。
2010年エイヤフィヤトラヨークトルで大きな噴火が起き、噴煙で上空に大量に舞った火山灰の影響で、北欧の航空機の稼働が数週間ダウンするという事態に陥りました。アイスランドは北大西洋を横断(1日に3万件近く)する様々な飛行ルートの中央に位置するので、この国の火山活動はしばしば航空網に甚大な被害を与えます。
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