
ピサの斜塔
イタリア・トスカーナ地方の街ピサに立つピサの斜塔は、その名の通り大きく傾いた姿で世界的に有名です。本来はピサ大聖堂の鐘楼として建てられましたが、建設中から地盤沈下で傾き始め、そのまま独特のシルエットが形作られました。中世建築の美しさと、物理的な“難題”が生み出した奇跡的バランスが魅力です。今回は、その立地や環境、建築的特徴、そして傾きとともに歩んできた歴史を見ていきます。
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ピサといえばやっぱりこの塔!世界中からたくさんの人が見に来る、有名な観光スポットなんです。歴史ある建物と、のんびりした広場の景色が一緒になって、とても気持ちのいい場所ですよ。
ピサの斜塔は「奇跡の広場(ピアッツァ・デイ・ミラコリ)」って呼ばれる大聖堂広場の一角に立っています。すぐそばにはピサ大聖堂や洗礼堂もあって、全部そろってひとつの美しい景色を作っているんです。昔からこの場所は、街の人や旅人にとって特別な場所だったんですよ。
ピサはアルノ川の河口近くにあって、中世のころは海の貿易でとてもにぎわった港町でした。でも、この塔が建っている場所はもともと湿地だったので、地面がやわらかかったんです。そのせいで、工事の途中から塔が少しずつ傾きはじめて…それが今では「ピサの斜塔」として有名になったんですね。
塔のまわりはふかふかの芝生で囲まれていて、観光客はみんな「塔を支えるポーズ」で写真を撮っています。おみやげ屋さんやカフェもあって、広場全体がとてもにぎやか。でも、夕方になると白い大理石の塔と大聖堂が夕日に染まって、ちょっとロマンチックな雰囲気にもなるんですよ。
白い大理石の美しさとロマネスク様式の優雅さ、そして何より世界的にも珍しい“傾いた塔”という個性をあわせ持つ、とても独創的な建物なんです。
外壁は真っ白な大理石でできていて、ぐるりとアーチ型の開口部と柱が規則正しく並んでいます。その整ったリズムと軽やかなデザインが、塔全体をやさしい雰囲気にしてくれているんです。近くで見ると、大理石の模様や細かい彫刻も発見できて、思わず見入ってしまいますよ。
塔の高さはおよそ56メートル。でも一番の特徴はやっぱり傾きです。もともとはまっすぐに建てられるはずだったのに、地面がやわらかかったせいで少しずつ傾いてしまいました。最も傾いていたときは約5.5度も傾いていて、修復工事のあとも今は約4度の傾きが残っています。このちょっと不思議な姿こそが、世界中の人を惹きつける理由なんですね。
この塔はただの観光名所じゃなくて、大聖堂の鐘楼として作られたものなんです。中には7つの鐘が吊るされていて、昔はお祭りや特別な儀式のとき、そして時間を知らせるために鳴らされていました。今でもその鐘の音は、広場にやさしく響き渡ります。
ピサの斜塔は、建築の過程で生じた傾きが逆にその象徴となり、世界的に知られる存在となった塔です。完成まで約200年を費やし、その間に人間の知恵と自然の偶然が交錯する独特の歴史を歩んできました。
1173年、ピサ大聖堂の鐘楼として建設が始まりました。白い大理石を用いたロマネスク様式で、当初は垂直に建てられる予定でしたが、3階まで完成した段階で地盤沈下による傾きが発生します。この予期せぬ事態により工事は中断され、塔は長い間未完成のまま放置されました。
その後、地盤がある程度安定した14世紀半ばに工事が再開されます。傾きを少しでも抑えるため、各階ごとに高さや柱の長さを微妙に変えるなど、当時の建築家たちは工夫を凝らしました。最上階の鐘楼部分が完成したのは14世紀半ばで、塔は完成時からすでに象徴的な傾きを持つ姿となっていました。
20世紀後半には傾きが進行し、倒壊の危険が高まります。これを受けて1990~2001年にかけて大規模な傾き修正工事が行われ、傾き角度を安定させることに成功しました。現在では安全性が確保され、観光客は階段を登って頂上からピサの街並みを一望することができます。
ピサの斜塔は、建築技術の粋と自然のいたずらが融合した、世界に唯一無二の歴史的建造物なのです。その傾きは失敗の象徴ではなく、むしろ人間の工夫と粘り強さが刻まれた歴史の証として輝き続けています。
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