ヨーロッパに伝わる妖精|良い妖精も悪い妖精もいます

 

妖精(あるいはフェアリー)とは主にヨーロッパの伝承や物語に登場する自然物に宿るとされる人の姿をした精霊です。魔力を持つ超自然的な存在と信じられ、力を使い人を助けることもあれば、危害を加えることもあります。

 

 

妖精とは

「妖精」とは、伝説や民話、神話などに登場する超自然的な存在で、通常は小さな人間のような姿をしているとされています。これらの生き物は、様々な文化や伝承において異なる形で描かれており、しばしば魔法や不思議な力を持っていると考えられています。妖精は、自然界と密接に関連していることが多く、森、花、川などの自然環境に住んでいるとされています。

 

妖精の描写は文化によって異なり、ヨーロッパの伝承では可愛らしく愛らしい存在として描かれることが多いですが、一方で、いたずらをしたり、人間に危害を加えることもあるとされています。ヨーロッパの伝承に登場するゴブリンやトロールは醜い外見をしており、「妖怪」「モンスター」と読んだほうがしっくりくるかもしれませんが、実は妖精に分類されるのです。

 

妖精は零落した神か

妖精は神々の零落した姿ともいわれます。このあたりは日本の妖怪伝承に通ずる部分があり、妖怪も自然界に住む神が人々の生活スタイルの変化で信仰を失い零落した姿ともいわれています。

 

アニメや漫画では可愛らしい小人の姿をしたマスコット的キャラとして描かれることが多いですが、

 

ヨーロッパ神話における妖精伝承

妖精と一口にいっても、神話ごとに様々な姿かたち、逸話が伝えられています。以下はヨーロッパの主要な神話の中の妖精の特徴になります。

 

ギリシア神話の妖精

ギリシア神話では、妖精に相当する存在として「ニンフ」が知られています。ニンフは自然界の精霊で、森、川、山など自然の特定の場所や要素と関連している美しい女性の姿をしています。彼女たちは植物や水源を守る役割を持ち、しばしば神々や英雄の物語に関わっています。

 

ローマ神話の妖精

ローマ神話においても、ニンフの存在が見られます。ギリシア神話がローマ文化に大きな影響を与えたため、多くのニンフの物語がギリシアから受け継がれ、ローマ神話に取り入れられました。

 

北欧神話の妖精

北欧神話では、妖精に類する存在として「エルフ」が登場します。エルフは美しい容姿を持ち、魔法の力を使うことができるとされています。彼らは自然界や神秘的な場所に住み、しばしば人間や神々の物語に関わります。

 

スラブ神話の妖精

スラブ神話にも妖精に似た存在が登場します。これらの存在はしばしば自然界や森林と関連し、時には人を助け、時には惑わすとされています。スラブの妖精は、各地の伝承や物語によってさまざまな形で描かれています。

 

これらの神話における妖精は、その文化の自然観や宗教観を反映した存在と言えるでしょう。自然界や神秘的な力と深く結びついた彼らの物語は、各文化の独特の世界観を伝えています。

 

 

ヨーロッパに伝わる妖精一覧

エルフ

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北欧神話に登場する北ヨーロッパの民間伝承に伝わる妖精です。言い伝えは様々ですが、とても美しく若々しい外見をしており、人知を越えた力、魔力のようなものを持つとされています。有名なのは『指輪物語』に神の種族として登場した「エルフ」ではないでしょうか。エルフには色々な描かれ方があるものの、『指輪物語』のヒットにより、この作品での「エルフ」の姿や設定が定型的なものとなりました。

 

トロール

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ノルウェーデンマークアイスランドなど北欧諸国に伝わる妖精の1種です。日没から日の出までしか姿を見せず、日の光を浴びると石になってしまうともいわれています。知能が低く鼻や耳が大きい醜悪な巨人、しかも人間を襲って喰う「人食い」として描かれることが多く、「神秘的で可愛らしい小人」という定型化した妖精のイメージとは乖離しています。

 

ノーム

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スイスの錬金術師パラケルススが提唱したエレメンタル(地・水・風・火を四大元素に住まう精霊)のうち、大地を司る精霊・妖精です。大地の中に隠れ住み、身長12cmほどの小人で、長い白髪とヒゲを蓄えた老人の姿をしています。また派手な色の服と三角帽子がトレードマークです。頭が良く、手先も器用なので、色々なものを作ることができたと伝えられています。

 

オーべロン

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『オーベロンとティターニアの諍い』(1846年):ジョゼフ・ノエル・ペイトン作

 

中世・ルネサンス期の伝承にでてくる妖精の王様です。ウィリアム・シェイクスピアの「夏の夜の夢の妖精」の作中では女王タイターニアの夫として登場し、赤子のことで夫婦げんかをしています。タイターニアは死んでしまった友人の赤子を自分の手で育てたいといいますがオーべロンは小姓として取り上げようとします。最終的には和解する流れになりますが、この喧嘩の影響は人間界にまで波及しました。

 

パック

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ジョシュア・レノルズ作

 

イギリスに伝わる妖精です。毛深い人間の姿か、ヤギの脚を持つ半人半獣の姿として描かれます。持ち前の変身能力を使いイタズラを働く厄介物として知られる一方で、貧乏人や弱者の利益のために行動することもあるので憎めないキャラクターではあります。この妖精の名をモデルにしたキャラクターや音楽、星などは少なくなく、例えば天王星の衛生の名「パック」はこの妖精にちなんで付けられました。