
ヨーロッパで西岸海洋性気候(Cfb)に分類される地域
出典:Map by Beck H.E., McVicar T.R., Vergopolan N., et al. / Wikimedia Commons CC BY 4.0より
ヨーロッパの気候といえば、南の方は乾燥した地中海性気候、内陸部は寒暖差の大きい大陸性気候というイメージがあるかもしれません。でもじつは、ヨーロッパ西部の多くの地域が西岸海洋性気候に属しているんです。この気候は、人々の暮らし方、農業、都市の景観にまで深く関わってきた存在。では、具体的にどの国がこの気候の影響を強く受けているのでしょうか?今回は、ヨーロッパで西岸海洋性気候の国をマップのように整理してご紹介します。
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まずは「ここぞ本場!」と言える、代表的な国々を紹介します。
イギリス全域は、まさに西岸海洋性気候の象徴。ロンドンやマンチェスターなど、都市部でも「しっとり涼しい」夏と「そこまで寒くない」冬が特徴です。雨が多くて霧も出やすく、傘が手放せない国でもあります。
アイルランドは、大西洋に面した島国で、まさに西岸海洋性気候のお手本。雨が多く、緑に包まれた「エメラルドの島」として知られています。夏でも気温が20度を超えることはあまりなく、過ごしやすい気候です。
フランスのなかでも、ブルターニュ地方やノルマンディー地方などの西側地域が典型的な西岸海洋性気候。ワインの産地として有名なボルドーなどもこの気候に含まれます。年間を通じて穏やかな気温で、農業にもぴったりなんです。
次に、国全体ではないけれど、一部の地域が西岸海洋性に属する国々を見てみましょう。
ドイツといえば内陸のイメージがありますが、西部のライン川流域やケルン周辺は西岸海洋性気候に含まれます。冬の寒さはある程度あるものの、極端には冷え込まず、雨もコンスタントに降ります。
オランダとベルギーも、ほぼ全面的に西岸海洋性気候。とくにオランダは海抜の低い平地が多いため、海からの湿った空気が入りやすく、風が強い日も多いんです。雨風に備えた都市設計も、この気候ならでは。
スペインやポルトガルは地中海性気候のイメージが強いですが、北部の大西洋側、たとえばサンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)やポルト(ポルトガル)などは、西岸海洋性気候に分類されるんです。夏も涼しく雨も多め、という意外な顔を持っています。
ヨーロッパの西岸海洋性気候は、イギリスをはじめとする西欧諸国に広く根づいています。気候が穏やかなだけでなく、雨や湿気とうまく付き合う文化や都市設計が発展してきたことも、この地域の魅力のひとつなんですね。
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