古代の部族集団から現代の民主制への長い道のりを経て、チェコはその政治体制とアイデンティティを確立してきました。様々な帝国や国家の影響を受けながら、現在の国のあり方に至っていることが重要です。

 

 

 

 

中世のチェコ

中世のチェコは、中欧の「ボヘミア王国」として神聖ローマ帝国の一部を形成していました。14世紀には、カレル4世の治世下でチェコは黄金時代を迎え、プラハは神聖ローマ帝国の文化と学問の中心地として大いなる繁栄を享受したのです。

 

ハプスブルク家の支配

15世紀末からはオーストリアのハプスブルク家の支配を受け、宗教改革の動きとともにハプスブルク家との抗争が始まりました。これは三十年戦争の遠因となり、その中心的な舞台となったチェコの繁栄は終わりを迎えました。

 

オーストリア＝ハンガリー帝国の一部

19世紀には、チェコはオーストリア＝ハンガリー帝国の一部となりました。この期間、チェコは産業革命により急速な経済発展を遂げ、同時期の民族主義の高まりとともに自治を求める声が強まっていきました。

 

 

 

チェコスロバキア共和国の成立

第一次世界大戦後の1918年、チェコスロバキア共和国が成立しました。これは、チェコとスロバキア、そしてカルパティア・ルテニア（現在のウクライナ西部）が一体となったもので、民主主義と市民の自由が保障される国家となりました。

 

第二次世界大戦と共産党の時代

1938年、ミュンヘン協定によりチェコスロバキアの一部がナチス・ドイツに割譲され、後に全土が併合されました。戦後は解放されましたが、1946年には共産党が政権を握り、チェコスロバキアはソ連の影響下に置かれるようになります。この時期は、言論の自由が抑制され、経済も集産化されるなど、厳しい生活が続きました。

 

ビロード革命

1989年、東欧革命の一環としてビロード革命と呼ばれる平和的な政権交代が起こり、共産党政権は終焉を迎えました。これにより、チェコスロバキアは民主主義に移行し、市民は自由を取り戻したのです。

 

チェコ共和国の誕生

1993年、チェコスロバキアは平和的に分裂し、チェコ共和国とスロバキア共和国が誕生しました。この時以降、チェコはEUやNATOに加盟し、現在に至るまで安定した民主国家として発展を続けています。