19世紀半ばにアイルランドで発生した「ジャガイモ飢饉」は、ジャガイモ疫病と呼ばれる菌によって引き起こされたと一般的に認識されています。しかし、実はこの飢饉の原因は、単に菌だけにあるわけではありません。社会経済的な背景も大きく関与していました。

 

 

 

ジャガイモ疫病の影響

ジャガイモ疫病は、ジャガイモ作物を壊滅させる能力があり、アイルランドの主要な食料源であったジャガイモの大量死を引き起こしました。この結果、食料が不足し、多くの人々が餓死したり、病気により亡くなりました。

 

社会経済的な背景

しかし、ジャガイモ飢饉の原因はジャガイモ疫病だけではありません。アイルランド人がジャガイモに大きく依存していたのは、貧困と土地制度が背後にあったからです。当時のアイルランドでは大部分の土地が少数の地主によって所有され、多くのアイルランド人は小規模な土地で生計を立てるしかありませんでした。そのため、彼らは手間が少なく、生産性が高いジャガイモに頼らざるを得なかったのです。この過度なジャガイモ依存が、飢饉を引き起こしてしまいました。

 

穀物法

さらに、アイルランドの飢饉を深刻化させた要因として「穀物法」も挙げられます。これは、当時のイギリス政府が制定していた法律で、イギリス国内の穀物価格を保護するために、外国からの穀物の輸入を制限するものでした。しかし、これによりアイルランドでは食料を輸入することが難しくなり、飢饉が悪化する一因となりました。