近代ヨーロッパ

近代ヨーロッパというと、産業革命やフランス革命を始点とする見方はどの立場からもほぼ共通ですが、その終点をどこに置くかには解釈が別れます。例えば、第一次世界大戦を終点とする考え方もあれば、冷戦後の東欧革命(1989年)までを近代に含める視点もあるんです。この後者の見方に従うと、20世紀後半まで近代ヨーロッパの枠組みは続き、民主主義や市場経済が東ヨーロッパ全域に広がったことが、近代の最終段階とされるということです。

 

ここではあえて、東欧革命を近代ヨーロッパの終点とする視点に立ち、近代ヨーロッパの定義とその特徴について見ていきましょう。

 

 

近代ヨーロッパの定義

近代ヨーロッパの範囲には、いくつかの見方があります。もっとも一般的には、フランス革命(1789年)から第一次世界大戦(1914年)または第二次世界大戦(1939年〜1945年)までを近代と捉えることが多いです。産業革命による経済の変化、市民革命による政治制度の変革、そして帝国主義による植民地の拡大が進んだ期間ですね。

 

しかし、冷戦終結以降増えた見方として、そのきっかけになった東欧革命(1989年)を近代の終点とする見方があります。この視点では、第二次世界大戦後に起こった冷戦や社会主義の台頭と崩壊、そしてその後の東ヨーロッパの民主化運動を近代ヨーロッパの一環として捉えています。東欧革命によって、ヨーロッパ全体での民主主義や市場経済が確立し、冷戦による分断が終結したことが、近代の締めくくりと見なされるのですね。

 

当サイトでは基本的にこの「近代ヨーロッパ東欧革命まで史観」に立ってヨーロッパ史の解説を行っています。

 

近代ヨーロッパの特徴

特徴@ 市民革命と民主主義の拡大

フランス革命(1789年)をはじめとする市民革命は、近代ヨーロッパにおいて民主主義が拡大した象徴的な出来事です。封建制度や絶対王政が崩れ、国民が主権を持つ近代国家が次々と誕生しました。特にフランス革命後の人権宣言立憲主義の確立が、ヨーロッパ各地に影響を与え、民主主義的な政府の誕生を促しました。

 

この流れは、20世紀に入っても続き、東ヨーロッパの東欧革命により、民主主義が最終的に地域全体に浸透することになります。

 

特徴A 産業革命と経済の発展

産業革命は、18世紀後半にイギリスで始まり、蒸気機関や機械化が進むことで工業生産が急増しました。これにより、農業社会から工業社会への転換が進み、都市への人口集中と労働者階級の形成が急速に進行しました。19世紀にはヨーロッパ全体にこの変化が波及し、資本主義経済の基盤が形成されたのです。

 

この経済的な発展は、冷戦期のヨーロッパでも続き、特に西ヨーロッパ諸国では経済の高度成長が見られた一方、東ヨーロッパでは社会主義経済の停滞が問題となり、1989年の東欧革命で、市場経済を導入する改革が求められることになりました。

 

特徴B 帝国主義と国際競争

近代ヨーロッパでは、帝国主義が国際競争を激化させました。ヨーロッパ諸国が、アフリカやアジア、アメリカ大陸に植民地を広げ、世界各地で経済的・軍事的な支配を強めた時代です。特に19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパ列強は植民地獲得を巡って激しい争奪戦を繰り広げ、これが第一次世界大戦の要因の一つとなります。

 

このような帝国主義的な競争は、第二次世界大戦後に終息を迎え、冷戦期には東西冷戦という新たな国際競争が展開されました。最終的に1989年の東欧革命が、ヨーロッパ内での競争的な体制を終焉させたと見ることができるのです。

 

近代ヨーロッパの歴史

フランス革命(1789年)

フランス革命は近代ヨーロッパの始まりとも言える革命です。貴族や王政に対する市民の反乱が引き金となり、自由、平等、博愛の理念が広がりました。この革命は、立憲主義や共和制の確立を目指し、近代的な民主主義国家のモデルを作り上げました。

 

産業革命(18世紀後半〜19世紀)

イギリスから始まった産業革命は、ヨーロッパの技術革新と工業化を推進しました。これにより、工業都市が発展し、経済の中心が農業から工業へと移行しています。鉄道や蒸気機関が交通や輸送の効率を劇的に向上させ、ヨーロッパ全体での経済活動が活発化したのです。

 

ナポレオン戦争(1803年〜1815年)

フランス革命後に台頭したナポレオン・ボナパルト(1769年?1821年)は、ヨーロッパ各国に対する軍事的な征服を進め、広範囲の領土を支配しました。ナポレオンの敗北後、ヨーロッパは新たな国際秩序を模索し、ウィーン体制が形成されています。反動的なこの体制への抵抗から市民社会が形成されていったことは、近代社会への転換において非常に重要な要素でした。

 

冷戦と東欧革命(1945年〜1989年)

第二次世界大戦後、ヨーロッパは東西冷戦の舞台となりました。アメリカ・ソ連という超大国に挟まれ、西側の資本主義陣営と、東側の社会主義陣営に分断されたヨーロッパは、長期にわたる軍事的緊張を経験することになるのです。しかし、1989年に東ヨーロッパで社会主義体制が崩壊し、各国で民主化運動が広がりました。この東欧革命によって、東西分断も解消、ヨーロッパ全体が民主主義と市場経済を受け入れることとなり、近代ヨーロッパの時代が幕を閉じたと考えられています。

 

近代ヨーロッパの影響

影響@ 民主主義の確立

フランス革命以降、ヨーロッパ各国において民主主義が拡大し、市民の政治参加が進みました。東欧革命の結果、東ヨーロッパにもこの波が及び、現在のヨーロッパ全域で民主主義が確立されたのです。

 

影響A 経済発展と市場経済の拡大

産業革命を皮切りに、ヨーロッパでは資本主義経済が広まり、経済のグローバル化が進みました。特に冷戦後の東欧革命によって、市場経済が東ヨーロッパにも広がり、ヨーロッパ全体が一体となった経済圏を形成するようになったのです。

 

影響B 国際秩序の安定化

ヨーロッパでの帝国主義や冷戦の終焉により、国際秩序が安定しました。特に東欧革命後は、ヨーロッパ全体がEUやNATOといった国際組織を通じて、平和と協力を目指す新しい時代に突入したのです。

 

以上、近代ヨーロッパについての解説でした!

 

まとめると

 

  • 近代ヨーロッパは、フランス革命から始まり、東欧革命によって幕を閉じた。
  • 市民革命や産業革命が社会の変革をもたらした。
  • 冷戦とその後の東欧革命が、ヨーロッパ全体に民主主義を広め、現代社会に繋がった。

 

・・・というわけですね。

 

つまるところ近代ヨーロッパは、東欧革命を経て現代社会へと繋がった重要な時代である。という点を抑えておきましょう!