
「ヨーロッパ」という地域区分は、文化的な地域概念であるところも大きいので、絶対的・学術的統一基準がありません。中でも特に分類が微妙な国が、ボスポラス海峡(アジアとヨーロッパの境界とされる)に国土がまたがっているトルコです。どういうこと?と思われるかもしれませんが、百聞は一見にしかずで、まずはトルコの位置を地図で確認してみましょう。
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一般的にボスボラス海峡の西がヨーロッパ、東がアジアとされていますが、トルコの国土の大半は東側のアジア領域に属していることがわかると思います。トルコのヨーロッパ領域は全体の5%に過ぎず、地理的には「アジアの国」としたほうが説得力がありそうです。
宗教もイスラム教で、9割がアジア人であり、地理的にも国土のほとんどはアジアに属していることから、「トルコはアジア」とする見方が一般に支持されています。日本の公式見解でもトルコはアジアの国(中東の国)と分類していますから、学校など公的機関で回答を求められた際は、政府の公式見解を引用して「アジアの国である」と答えるのが無難ではあるでしょう。
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一方でトルコは、政治経済においてヨーロッパの影響が強い国でもあります。トルコ政府は公式見解で自国をヨーロッパの国としており、他国の認識との乖離があるのです。
確かに
であったりと、国家自体は明らかにヨーロッパ志向なのです。
自国がアジアなのかヨーロッパなのか。アイデンティティのジレンマはトルコという国家を悩ませていますが、最終的に分類がどう確定するのかは、欧州連合(EU)加盟を実現させられるか否かが分かれ目になりそうです。
しかしトルコの人権状況、宗教、歴史背景※などを理由に反対するEU加盟国がいる上、国内の反発もあります。そう簡単には結論が出ないでしょう。これについては【トルコがEUに加盟できない理由とは?】もご参照ください。
※トルコの前身がヨーロッパ諸国と敵対していたオスマン帝国であることや、キリスト教圏のヨーロッパに、99%がイスラム教徒のトルコが加わることへの反発など。トルコの歴史については【トルコの歴史年表】を参照のこと。
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