古代ローマにおける奴隷の値段は?

 

古代ローマでは創立初期から、「奴隷」の存在が、社会を維持する上で重要な役割を果たしていました。「古代ローマの栄光」というものは、膨大な数の奴隷により支えられていたことは知っておかねばなりません。

 

 

奴隷の役割

ひょっとしたら「奴隷」と聞けば、首や手足を鎖で繋がれ、一日中過酷な肉体労働を強いられているイメージが強いかもしれません。実際鉱山や農場などでそのような奴隷も多く使役されたことは事実ですが、古代ローマにおいて「奴隷労働」の範囲は広く、教師や医師、会計士といった知的労働に従事するのもまた奴隷でした。

 

奴隷はローマ社会のあらゆる階層で利用され、家庭内の雑役から公務、さらには建設作業や農業など幅広い分野で重要な労働力として機能していました。彼らの存在はローマの経済、社会構造、さらには文化にも深く影響を与えました。

 

奴隷の値段

奴隷は物として扱われ、売買の対象でした。値段に関してはピンキリで、時代によっても違ったので一概には言えないものの、アウグストゥス帝の治世における奴隷1人の値段の相場は大体以下でした。

 

  • 成人男性:1人約1000セステルティウス
  • 成人女性・中年男性・少年:1人約800セステルティウス
  • 老人・幼児:1人約400セステルティウス

 

1セステルティウスは大体322円くらいだったので、成人男性1人の値段は32万円程度だったということになります。これはローマ一家4人の年間の生活費と同程度になり、奴隷を買うというのは、それなりに高価な買い物だったのですね。

 

奴隷市場とその取引方法

奴隷の売買は専用の市場で行われ、公開オークション形式で取引されることもありました。売り手は奴隷の健康状態、技能、年齢などを詳細に説明し、買い手はその情報を基に価格を決定しました。特に技能のある奴隷や、美貌を持つ奴隷は高値で取引されることが多く、ローマ社会においては重要な経済活動の一環でした。

 

奴隷の生活と待遇

奴隷の生活や待遇は主人によって大きく異なりました。厳しい労働環境に置かれた奴隷もいれば、比較的穏やかな生活を送ることができた奴隷も存在しました。都市部の家庭内で働く奴隷は、農村部で重労働に従事する奴隷よりも生活条件が良いことが多かったです。また、主人との信頼関係を築くことで、自由を与えられる「解放奴隷」となることもありました。

 

奴隷解放とその後

奴隷はその主人の恩恵や努力次第で自由を得ることができました。解放された奴隷は「解放奴隷」として市民権を取得し、自由人として生活することが許されました。彼らは独立して事業を始めたり、家庭を持ったりすることができましたが、元主人との関係が続くことも多かったです。

 

古代ローマの奴隷制度は、経済的、社会的、文化的な側面で深く根付いていました。奴隷はローマ社会の基盤を支える重要な存在であり、その役割と価値は多岐にわたりました。奴隷制度の歴史を学ぶことで、古代ローマ社会の複雑な構造と、その繁栄を支えた要因を理解することができます。