食文化というのはその土地の気候や風土など、地域性と強く密着しています。そのため古代ギリシアの人々の食生活にフォーカスすることで、古代ギリシアの歴史や文化への理解もいっそう深めることができるでしょう。ここでは古代ギリシアの人々がふだんどのような食事をとっていたのかを解説しています。
古代ギリシアの土地は山がちで農地に向かない上、気候的にも乾燥しておりお世辞にも肥沃とはいえません。最初期の古代ギリシアでの主食は、ナッツ類、豆類、ゴマ、挽き割り大麦の粥など、実に質素なものでした。
しかし紀元前5世紀以降は、造船技術が発達し海上交易が活発になったことで、オリーブオイルやワイン(葡萄酒)、陶器類を交易品に、小アジアやエジプトから小麦を大量に輸入するようになり、パンを主食として食べるようになりました。
古代ギリシアは乾燥帯なので、乾燥に強いブドウ、イチジク、ナツメヤシといった果樹栽培がさかんでした。これらの果物はそのまま食べると水分が多すぎてお腹を壊すので、わざわざ乾燥させてから食べるのが一般的でした。
古代ギリシアでは古くから自然条件に合ったブドウの栽培がさかんに行なわれており、ワイン(ブドウ酒)造りが古くから行われていました。ワインはギリシア神話の中で、酒神ディオニュソスによりもたらされた飲み物とされるなど神聖な飲み物でもありました。
古代ギリシア人の食卓には、朝昼晩必ずワインが添えられ、そのまま食べると堅すぎる主食の乾燥パンをワインに浸して食べる、といった食べ方が一般的でした。飲み物として飲む場合でも、当時のワインはドロみが強かったことから、ストレートではなく必ず水で薄めて飲むのが普通でした。
ワイン以外の飲み物
古代ギリシアは放牧地に乏しかったので、豚や牛などの肉はあまり食べられない、もしくはごく一部の富裕層の食べ物でした。牛のような大型の家畜は食肉としてよりも、労働力として使われることのほうが多かったです。
その代わり古代ギリシアは航海技術が発達していたので、漁獲類の水揚げが豊富で、魚肉は貴重なタンパク源になっていました。
古代ギリシアでは酪農が発達していて、羊の乳から作るチーズがよく食べられていました。牛乳を飲み物として飲む習慣はあまりなく、必ずチーズやバターなどに加工されてから消費されていました。
|
|
|
|