中世ヨーロッパにおける政治の変遷は、王国の出現と消滅、その後の統合と分裂を何度も繰り返すという複雑なものでした。この記事では、シチリア王国の分裂と、それに続くナポリ王国の成立について説明します。

 

 

シチリア王国の分裂

シチリア王国は、1130年にノルマン人によって成立しました。しかし、1194年に神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世が王位を獲得したことで、事実上、神聖ローマ帝国の支配下に入ります。そして、1282年のシチリアの晩祷後、シチリア王国のうちイタリア本土の部分はナポリ王国として独立することとなります。

 

ナポリ王国の成立

シチリアの晩祷によって、シチリア島はアラゴン王国の支配下に移り、シチリア王国政治的独立性をもたない名目上の存在となりました。一方、イタリア本土部分はナポリ王国として独立し、その後も様々な王朝の下で繁栄しています。特に15世紀初頭にアンジュー＝ドゥラッツォ家による統治が行われ、文化・芸術の中心地として栄えました。しかし、その後のナポリ王国はフランス、スペインの影響が強まっていき、次第にその独立性を失っていくこととなります。