スペイン音楽の特徴と歴史

スペインといえば「情熱の国」という言葉がすぐに連想されます。日本でも有名なフラメンコは、鮮やかな衣装と激しいリズムが特徴的な民族音楽・舞踊です。一方で、スペインの音楽史の中では、繊細で穏やかな美しい楽曲も多く生まれてきました。ここではそんなスペインの音楽史を簡単にまとめています。

 

 

宗教音楽と器楽

5世紀から11世紀ごろにかけて、スペインのカトリック信者たちは、モサラベ聖歌と呼ばれる独自のスタイルの聖歌の伝統を築き上げていました。モサラベ聖歌の現存する楽譜は記譜の形式が他の聖歌とは異なっているため、いまだ完全には解読されていません。

 

ローマ式の讃美歌が典礼に使われるようになった12世紀以降も、多くの美しい讃美歌が作曲されました。15世紀以降には、宗教音楽以外の方面の音楽もさかんに作曲され、バッハ以前の器楽曲の中でもっとも完成度が高いとも評価される鍵盤楽曲が生まれました。

 

ギターの歴史

14世紀ごろのスペインで、現代のアコースティックギターの原型となる楽器が生まれました。最初は複弦4コース、つまり8本の弦が張られたものだったといわれています。19世紀のスペインのギター作家トーレスが、弦とボディの設計を大幅に改良して、今日のギターの基礎をつくりました。

 

有名な楽曲

カベゾン『ティエント』

16世紀の盲目のオルガニスト、カベゾンによるオルガン楽曲。カベゾンはスペイン宮廷で重用された音楽家で、他の国の宮廷音楽家たちとも交流しながらスペインの音楽に大きな功績を残した。

 

タレガ『アルハンブラの思い出』

20世紀のクラシックギターの第一人者、タレガによる超絶技巧曲。タレガは多くのクラシックの名曲をギター版にアレンジしたり、スペインの民族音楽の要素を取り入れた曲を作ったりしたことで知られる。