トレンティーノ=アルト・アディジェ州

州都トレントの自然景観

 

トレンティーノ=アルト・アディジェ自治州/南ティロル自治州(伊: Trentino Alto Adige/Sudtirol)は、イタリア北東部の地方で、イタリアにある5つの特別自治州の1つです。州都はトレント。スイスオーストリアと国境を接する州北部は「南チロル」と呼ばれ、イタリアに属する地方でありながら、その地理的・歴史的要因からドイツ文化の色彩が強い地域として知られます。

 

トレンティーノ=アルト・アディジェ州の成り立ち

古代ローマ時代、この地方はラエティア属州と呼ばれる行政区でした。西ローマ帝国崩壊後は、ランゴバルド王国フランク王国による支配を経て、神聖ローマ帝国の支配下に置かれ、その後チロル伯がこの地方で勢力を広げ、チロル伯領を形成。チロル伯領は14世紀にオーストリア・ハプスブルク家の手中に収まり、以後19世紀にイタリア統一が成されるまで(途中ナポレオン台頭による中断はあったものの)オーストリアによる支配が続きました。

 

南チロル問題の始まり

19世紀後半にイタリア統一が成され、イタリア王国が成立すると、南チロル・トレンティーノは「オーストリア支配下のイタリア文化圏=未回収のイタリア」の1つと認識されるようになります。第一次世界大戦でオーストリア帝国が崩壊し、この地方のイタリアへの併合が決まりましたが、南チロルにはドイツ系住民も多数居住していたことから、禍根を残しました。

 

戦後「南チロル解放委員会」が設立され、急進的な自治主義者が台頭し、テロ活動が続発するなど、国際連合で取り上げられるほどの紛争に発展しましたが、1969年、イタリアとオーストリア間で合意がなされ、「特別自治州」としての地位が与えられることで一応の和平が達成されました。