ロシアで強い・人気のスポーツは?

 

ロシアで人気のスポーツはアイスホッケー、サッカー、シンクロナイズドスイミング、バレエ、新体操、フィギュアスケートなど。ここではロシアにおけるこれら競技をとりまく環境や過去の成績について簡単にまとめています。

 

 

ロシア社会におけるスポーツ受容

ロシアにおけるスポーツの受容は、国民的なアイデンティティと強く結びついています。政府もスポーツを国の発展や国際的な地位向上のための重要な手段と位置づけ、多くの資金を投資。特に国際競技での成功は、国民の誇りとなり、子どもの頃からスポーツへの参加を奨励していることが、その熱狂的な人気につながっています。

 

ロシアの人気スポーツ

ロシアでは幅広く多種多様なスポーツが行われていますが、特に

 

  • アイスホッケー
  • バレエ
  • シンクロナイズドスイミング
  • フィギュアスケート
  • サッカー
  • 新体操

 

などのスポーツが人気です。各競技のロシアにおける実績や歴史を以下にまとめました。

 

アイスホッケー

ロシアはアイスホッケーで非常に強い国の一つです。ソビエト連邦時代からアイスホッケーは国内で非常に人気があり、国際大会でも多くの成功を収めてきました。特に、1970年代から1980年代にかけてのソビエト連邦のアイスホッケーチームは、「ビッグレッドマシン」と呼ばれ、オリンピックや世界選手権で数多くの金メダルを獲得しています。

 

ソビエト連邦の崩壊後も、ロシアはアイスホッケーの強国としての地位を維持しており、ロシアの選手たちはNHL(北米アイスホッケーリーグ)などの国際リーグでも活躍しています。また、国際アイスホッケー連盟(IIHF)のワールドチャンピオンシップなどでロシアは引き続き上位にランキングされており、強豪国としての評価は非常に高いです。

 

バレエ

ロシアは新体操やシンクロナイズドスイミング、フィギュアスケートといった演技力が重視されるスポーツの強豪として知られますが、これはロシアが「ワガノワ・メソッド」を発祥とするバレエ大国であり、幼少期より競技の練習に並行したバレエのレッスンも徹底的に行っていることが、全体の競技レベルの底上げに大きく貢献しています。

 

シンクロナイズドスイミング

シンクロナイズドスイミングのロシア代表は世界屈指の強豪として知られます。過去何十年とオリンピックや世界水泳、ワールドカップにしろ、他の追随を許さない圧倒的な強さを誇っており、競技をリードし進化させてきました。

 

フィギュアスケート

ロシアは誰もが認めるフィギュア大国として知られ、世界大会では必ずといっていいほどメダルを獲得しています。この強さは、前述のように演技の柱となるバレエの基礎を幼少期から徹底して叩きこまれていること、練習環境や生活環境、コーチングなどフィギュア選手の育成に必要なものが全て揃っていることなどに裏付けされています。

 

サッカー

サッカーはロシアで非常に人気があり、全国的に愛されているスポーツの一つです。ロシアサッカー連盟によると、多くの地域リーグとプロフェッショナルなクラブがあり、ユースから大人まで幅広い層が参加しています。国内リーグはもちろん、国際大会でのロシア代表の活躍も多くのファンを魅了しているのです。

 

新体操

新体操もロシアの国民的なスポーツで、国際的にも高い評価を受けています。特にロシアの女性選手は、オリンピックや世界選手権などで常にトップクラスの成績を収めており、その技術の高さと表現力の豊かさが評価されています。

 

ロシアのスポーツ史

 

ロシアのスポーツ史は、長い時代を通じて多くの変遷を経ています。特にソビエト連邦時代には、スポーツが国家の重要な政策として推進され、多くの競技が国際的なレベルでの成功を収めました。その後、ロシア連邦時代に入っても、その伝統は継承され、現在に至るまでスポーツは国民生活の一部として根付いています。

 

モスクワ公国時代

モスクワ公国時代から、スポーツは重要な社会活動の一環とされていました。この時代、特に馬術狩猟が貴族の間で非常に人気があり、これらの活動は社会的な地位を象徴するものとされていました。馬術は軍事訓練の一環としても重視され、高位の貴族だけでなく、騎士や兵士たちにも広まりました。スポーツは、貴族の娯楽だけでなく、国の防衛にも直結する重要な技術として位置づけられていたのです。

 

ロシア帝国時代

ロシア帝国時代には、西欧から導入された多くのスポーツがロシア社会に根付きました。特にフェンシング体操が非常に人気を博し、これらのスポーツは軍事訓練としても積極的に採用されました。フェンシングは貴族たちの間で教養としても評価され、体操は国民の健康増進と国力強化のために学校教育でも取り入れられ、幅広い層の人々に普及しました。

 

ソ連時代

ソ連時代には、政府主導の下でスポーツが国家プロジェクトとして大々的に奨励されました。オリンピックやその他の国際大会での成績が国威発揚の手段とされ、国際的な成功が「国の威信を高めるもの」と位置づけられたからです。この時代には、全国各地に多くのスポーツ施設が建設され、スポーツが一般市民にも広く普及、国民全体の体力向上が図られました。

 

ロシア連邦時代

ロシア連邦時代に入ると、民間のスポーツクラブが増加し、特にサッカーやホッケー、バスケットボールなどが一層人気を集めるようになりました。国内リーグの発展はもちろん、国際大会でのロシア代表の活躍も注目され、ロシアはスポーツ大国としての地位を保持し続けています。また、これらのスポーツの普及によって、国民の間に健康への意識も高まりました。

 

政治とスポーツ

 

ロシア連邦史上最大の政治的事件の一つに2022年のウクライナ侵攻がありますが、この影響はスポーツ界にも及んでいます。少なくない国際スポーツ団体は、ロシアおよびベラルーシのスポーツチームや個別の選手に対して、様々な大会への出場停止処分を科しています。これは、現実問題、政治とスポーツが時に密接に関連していることを示しており、特に国際的な対立がある場合、スポーツイベントが外交政策の一環として利用されるものです。ロシア人選手たちは、この現実に否応なしに巻き込まれ、キャリアへの弊害が問題となっています。

 

ロシアにおけるスポーツは、長い歴史を通じて多くの発展を遂げ、現在も多くの人々に愛されています。国際大会での成功はもちろんのこと、国内でのスポーツの普及も進んでおり、将来的にもその動向から目が離せません。