第4回十字軍はなぜコンスタンティノープルを攻撃したの?

本来の目的を見失い、コンスタンティノープルを攻撃する第4回十字軍

 

もともとビザンツ皇帝の救援要請に応える形で組織された十字軍が、第4回遠征でコンスタンティノープルを攻撃した事件は有名です。

 

この事件のきっかけはヴェネツィアとビザンツ帝国の商売をめぐる対立で、ものすごく簡単にいえば

 

「商売敵を倒したいヴェネツィア商人が、策略を回し十字軍をコンスタンティノープルに差し向けた」

 

という形になります。そして

 

  • 十字軍はヴェネツィア商人がスポンサーについていた
  • 派遣国では十字軍に協力的でないビザンツ帝国に対し不満が溜まっていた

 

ということもあり、政治的・経済的利害が一致した結果、本命と関係のない、コンスタンティノープル襲撃が実行されてしまったのですね。

 

 

ご存じの通り、第四回十字軍がこの時に犯した略奪と暴行の限りは、十字軍の行った蛮行の象徴的行為として、今なお批判的に語り継がれています。

 

以下でもう少し詳しく、この十字軍によるコンスタンティノープル襲撃事件について解説していきますね。

 

 

第4回十字軍の背景

第4回十字軍がコンスタンティノープルを攻撃した背後には、複雑な政治的、経済的要因が絡み合っていました。十字軍の組織化は、ビザンツ帝国からの救援要請に応える形で始まりましたが、その後の経過は予期せぬ方向へと進んでいきます。

 

ビザンツ帝国の内部対立

ビザンツ帝国内部では皇位継承をめぐる対立が続いていました。この混乱はビザンツ帝国の弱体化を招き、外部からの介入を容易にしました。帝国の求めに応じて集められた十字軍は、当初は聖地エルサレムの奪還を目指していましたが、次第にビザンツの内政に関与するようになりました。

 

ヴェネツィアの経済的野心

ヴェネツィアは、当時の地中海貿易における主要な勢力であり、ビザンツ帝国とは商業上のライバル関係にありました。ヴェネツィア商人たちは、ビザンツ帝国の商売敵であることから、十字軍を利用してビザンツに打撃を与えようと考えていました。彼らの経済的な利益が、十字軍の方針に大きく影響を与えることになります。

 

コンスタンティノープル襲撃への経緯

十字軍のコンスタンティノープル襲撃に至る経緯は、ヨーロッパの政治情勢と緊密に結びついていました。十字軍が聖地エルサレムへの遠征を目指していたにもかかわらず、コンスタンティノープルへの攻撃を決意するに至った背景には、いくつかの重要な要素があります。

 

ビザンツ帝国と十字軍の関係悪化

十字軍がビザンツ帝国を通過する過程で、両者の間の関係は急速に悪化しました。ビザンツ帝国は十字軍に対して必要な支援を提供することを渋り、十字軍はビザンツ帝国を信用せず、お互いに不満が蓄積していきました。この緊張関係は、次第に十字軍によるビザンツ帝国攻撃の口実となりました。

 

ヴェネツィアの策略

ヴェネツィア商人たちは十字軍を操り、自らの経済的利益のためにビザンツ帝国への攻撃を誘導しました。彼らは十字軍の輸送と補給を担当していたため、十字軍に大きな影響力を持っていました。この策略

 

は、十字軍の目的を変え、最終的にコンスタンティノープル襲撃につながりました。

 

襲撃の結果とその影響

1204年、第4回十字軍によるコンスタンティノープル襲撃は、壊滅的な影響をビザンツ帝国に及ぼしました。この出来事は、十字軍史上でも特に暗い一ページとして記憶されています。

 

ビザンツ帝国の衰退

この襲撃は、ビザンツ帝国の政治的、経済的基盤を大きく破壊しました。多くの財宝が略奪され、重要な文化遺産が失われました。また、帝国の権威は大きく損なわれ、その後の衰退に拍車をかけました。

 

十字軍の目的の見失い

十字軍は本来、聖地エルサレムを奪還することが目的でしたが、この襲撃によりその目的を大きく逸脱しました。これは十字軍運動全体の信用を失墜させ、後の十字軍の展開にも影響を与えました。

 

コンスタンティノープル襲撃は、十字軍史における最も深刻な逸脱の一つとして記憶されています。商売敵を倒すためのヴェネツィア商人の策略、ビザンツ帝国との関係悪化、そして十字軍内部の政治的動きが重なり、最終的にコンスタンティノープルへの無謀な攻撃を引き起こしました。この事件は、その後のヨーロッパと中東の歴史に長い影を落とし続けています。