神聖ローマ帝国はもともと、自治権の強い複数の領邦で構成されるドイツ諸侯の寄合世帯という色合いの強い国でした。それがさらに三十年戦争の講和条約として結ばれたウェストファリア条約で、各領邦の自治権が拡大し、事実上独立主権国家となります。
神聖ローマ帝国を有名無実化したウェストファリア条約の締結場面
つまりこの条約が結ばれた時点で神聖ローマ帝国はまとまりをなくし、国家としての実体を失ったため、「死亡診断書」という異名で呼ばれるようになったのです。以降、各領邦がそれぞれ好き勝手に内政も外交も行い、神聖ローマ帝国という一つの国としては行動しなくなるのですね。
そして1806年、ナポレオン主導のライン同盟の結成により、その名目すら廃され、かろうじて存続していた神聖ローマ帝国の命脈は完全に絶たれることとなるのです。
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