
世界最大の国土を誇るロシア。広大すぎるその国土には、ツンドラからタイガ、ステップ、山岳地帯、湿地まで、あらゆる自然環境が存在します。当然、そこに暮らす動物たちもまた非常に多種多様で、他のヨーロッパ諸国では見られないような珍しい種も数多く見られます。このページでは、そんなロシアの動物たちを「自然」「文化」「代表動物」という3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて紹介していきます。
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北から南、西から東へとまるでひとつの大陸のように広がるロシア。その多様な自然が、独特の生態系を育んでいます。
北極圏に広がるツンドラ地帯には、ホッキョクギツネやトナカイ、レミングなどが暮らし、短い夏の間に一斉に繁殖します。そのすぐ南にはタイガと呼ばれる広大な針葉樹林帯が続き、ここはユーラシア最大級の森として、クマやシベリアトラの生息地にもなっているんです。
バイカル湖は淡水湖として世界一の深さを誇り、バイカルアザラシやロシアデスマンといった固有種が棲んでいます。またロシア西部には湿地帯が多く、水鳥や両生類、昆虫類の楽園にもなっています。
南部のカザフスタンとの国境付近には、乾燥した草原=ステップが広がり、そこにはサイガ(曲がった鼻を持つウシ科動物)などの珍しい種がいます。さらにウラル山脈やアルタイ山脈などでは、ユキヒョウやアルガリ(野生ヒツジ)などが生きています。
ロシアでは、動物は文学・宗教・日常生活においても存在感のあるテーマとして扱われてきました。
ロシアの昔話や寓話には、動物たちがたびたび主人公として登場します。たとえばクマは「力持ちで少し間抜け」、キツネは「ずる賢い女狐」として描かれ、道徳的なメッセージを伝える手段にもなってきました。
トルストイやチェーホフなどのロシア文学では、動物たちは人間の心理や社会を映す鏡として使われることも少なくありません。たとえば、馬や犬などは、登場人物と心を通わせる存在として、重要な役割を果たしていることが多いんです。
ソ連時代からロシアでは動物学や生態学の研究が盛んに行われてきました。現在では自然保護区(ザパヴェードニク)が各地に設けられ、野生動物の保全と研究が並行して進められています。動物を国家の“資源”として扱う視点も残っており、文化と政策が複雑に交差しているのが特徴です。
では、ロシアの壮大な自然を象徴するような代表的な動物たちを見ていきましょう。
ロシアデスマン(Gustav Mützel画)
モグラとカバネズミを足したような姿で、水中生活に特化した珍獣。主にヴォルガ川流域の淡水湖や湿地に生息していますが、現在では絶滅危惧種として手厚く保護されています。夜行性で、人目に触れることは少ないけれど、ロシアの自然多様性を語るうえで欠かせない存在です。
ロシアに多数生息するヒグマ
ロシアの国民的シンボルとしても知られるヒグマは、実際にタイガ地帯を中心に数万頭以上が生息しています。とりわけカムチャツカ半島ではサケを狩るヒグマの姿が見られ、世界的にも貴重な生態系となっています。堂々たるその姿は、ロシアの自然の象徴ともいえるでしょう。
現存するトラの中で最大級の体格を誇り、ロシア極東の沿海地方に分布。その美しい縞模様と孤高の狩猟生活は、まさに“森の王者”。保護活動によって生息数は少しずつ回復していますが、依然として絶滅の危機にある貴重な存在です。
広すぎるロシアの大地では、動物たちもまたそれぞれの自然に寄り添って、じっくりと生きています。その多様さとスケールの大きさは、ほかのどの国とも違う、ロシアならではの魅力といえるかもしれません。
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