ギリシア神話において人と神の境界は曖昧
ギリシア神話における人間の誕生ついては、解説書などを紐解いてもあまり明確に記されていません。ギリシア神話の中で、人間は当たり前に存在しているにも関わらず、その誕生がはっきりと描かれていないのは、ギリシア神話が神と人間をあまりはっきりとは区別していない為、という背景があります。
ギリシア神話においては神も人間も、元々は等しく「ガイア(大地)の子」。神々は不死であり、超常的な力を持っているのですが、あくまで人間の延長線上の存在です。わかりやすく言えば、神は「貴族」であり、人間は貴族に支配される一方で守られる「庶民」のような存在で、あえて庶民の誕生にスポットをあてて語られていないというだけなのです。
ギリシア神話では、人間は大地(ガイア)より生まれたとされていますが、女性については少し違います。ヘーシオドスの『仕事と日』では、ゼウスが禁忌を破った人間に災厄を与えるため、美しき悪として人類最初の女性、パンドーラーを作ったとされています。そして彼女が全ての災いの詰まった箱(通称パンドラの箱)を開けてしまったことが、人類の苦しみの原因であるといわれているのです。
同じ人間でありながら、女性だけは悪として作られたものというのは、人権意識がまだまだ希薄な古代世界らしいエピソードといえます。
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